プレステのコントローラー 開発者が語るデザインの秘密「大切なのは親指」

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1994年12月3日、「1、2、3でゲームが変わる」というワードを引っさげて登場した次世代型家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」が、発売から25周年を迎えました。発売当初、グラフィックの鮮やかさやダイナミックなサウンドで世のゲーマーを驚かせたPSですが、優れたデザインも魅力の1つ。ゲームの楽しさにも直結するコントローラーのデザインはとても重要ですが、あの形状はどのようにして生まれたのでしょうか? PS one、PS2、PS3の本体やコントローラーのデザイナーとして知られる後藤禎祐さんは、雑誌『ケトルVOL.51』でこのように語っています。

「製品のデザイン依頼書には『バーチャルリアリティ(VR)を実現するためのハードギア』と書かれていました。実はこの頃からPSはVRを掲げていたんです。最初に見せてもらったのは、3DCGで表現された恐竜のデモ映像。それを試作段階にあったグラストロンというヘッドマウントディスプレイを被って見たんですけど、ものすごくリアルで。『こういうゲームがプレイできるコントローラーを作ればいいのか』とイメージできました」

没入感の高いVRの実現を目指しているということは、コントローラーは手元を見ずとも直感的に操作できるのが理想的。後藤さんはそうした発想から、さまざまなバージョンのプロトタイプを作っていきました。

「任天堂のスーパーファミコンのような平べったいデザインのものとか、いろんなものを作りました。その中のひとつにグリップを付けたものがあったんです。それを当時ソニーの社長だった大賀典雄さんが気に入ってくれて。大賀さんは飛行機の操縦免許を持っていたことから、グリップ型のコントローラーを『ハンドル』と呼んでいました。『ハンドルがあるから使いやすい』とおっしゃっていましたね」

しかも、このグリップ付きのコントローラーは、大人だけでなく小さな子供にとっても遊びやすいものでした。

「実際に子供たちに試作機を持ってもらい遊び方をじっと観察しました。すると、みんな初めて触るのに難なくプレイしていたんですよ。膝の上に置いたりする子もいたんですけど、それでも安定して遊べていた。この“安定する”というのがゲーム機のコントローラーでは大事なんです。

平べったいデザインだと、人差し指と親指で挟まないと持てません。でもグリップがあれば、操作しない指でグリップを握りますので、人差し指と親指がフリーになって操作がしやすくなります。PSは将来的にスティックが付くことも見込んでいたので、親指がフリーになるのは大切なことでした」

その後、コントローラーの形状がほとんど変わっていないことが、デザイン性の高さの何よりの証明。コントローラーの操作性の高さがPS人気に一役買ったのは間違いないようです。

◆ケトルVOL.51(2019年12月17日発売)

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ケトル VOL.51-太田出版

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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