臼井儀人氏の大ヒット作『クレヨンしんちゃん』の主人公・野原しんのすけの母親が「みさえ」。ごく普通のサラリーマン・野原ひろし(35歳)の妻である一方、好きな男性のタイプはケビン・コスナー、ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオなど海外のイケメン俳優という野原みさえは29歳の主婦です。ほかにもペ・ヨンジュンやパク・ヨンハといった韓流スターに夢中になったこともあり、なかなかミーハーな性格であることがうかがい知れます。
しかし、そんなみさえも音楽の趣味は意外とミーハーではありません。原作の14巻で、みさえは買ったばかりのCDラジカセで好きな音楽を流しながらコーヒーブレイクをするのですが、このときに聴くのが「ザ・コレクターズ」のアルバムなのです。
彼らはザ・フーやピンク・フロイドといったブリティッシュ・ロックに影響を受けたロックバンドで、「モッズ」というジャンルの日本代表とされるグループです。つまり、みさえの音楽のチョイスには、ミーハーどころか、むしろかなりのこだわりが感じられるのです。
みさえがザ・コレクターズ好きになった理由は不明ですが、原作に登場した経緯としては、2016年までアニメ版で野原ひろし役を演じていた藤原啓治さんが、ザ・コレクターズのギタリスト・古市コータローさんと高校の同級生だったことが影響していると言われています。藤原さんは古市さんとバンドを組んでいたこともあり、現在でも親交が深いそうです。
そして、『しんちゃん』では古市さん自身の名前もコミックスに登場したことがあります。大阪に単身赴任していたひろしを、みさえが東京駅まで迎えに行った際、駅のホームで「コレクターズのコータロー」に遭遇する場面です(原作11巻)。このときみさえは興奮のあまりファンと一緒に「コータロー」を取り囲み、ひろしを迎えに来たことをすっかり忘れてしまったのでした。
◆ケトルVOL.53(2020年4月15日発売)
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