特別な事件が起きるわけでもないのに愛される『クレヨンしんちゃん』は、まもなく30周年。押さえておきたいキャラクターが、主人公の野原しんのすけをはじめ、風間トオル、佐藤マサオ、桜田ネネ、ボーちゃんの仲良し5人組が結成しているグループ「かすかべ防衛隊」です。原作では11巻、アニメでは1995年5月1日放送の「かすかべ防衛隊だゾ」から登場しています。
自称リーダーの風間くんは、メンバーで唯一、学習塾に通っていることもあり、英語を話せたり、難しい漢字が読めたりと、5歳児とは思えない頭脳の持ち主。しかし、実はかなりのマザコンで、誰も見ていないところではママに抱っこをせがむことも。さらに少女アニメの大ファンであり、美少女キャラクターのコスプレをこっそり楽しむこともあります。
几帳面な性格のマサオくんは、ちょっとしたことでもすぐ泣いてしまう気の弱い人物です。しかし、その反動からか緊張が極端に高まると裏の顔が出現。ワイルドな人格に変貌します。映画『オトナ帝国の逆襲』では、大人たちから逃げるために幼稚園のバスを運転しますが、ハンドルを握った瞬間、「ぶっ飛ばすぜ、ベイビー!」と叫んで爆走しました。
紅一点のネネちゃんは当初、かなりの泣き虫キャラでした。しかし、しんのすけたちに鍛えられたのか、今では誰よりも気が強い性格に。趣味の「リアルおままごと」では不倫や嫁姑問題など昼メロのような凝った設定を好み、いつも隊員たちを無理やり参加させています。怒りが溜まるとうさぎのぬいぐるみを殴ってストレスを発散する癖があるせいで、アニメで幼稚園に本物のうさぎがやって来た際には、これも殴ろうとしたこともあります。
そして、もっとも謎に満ちているのがボーちゃん。常に鼻水を垂らしてぼーっとしているように見える男の子ですが、実は運動神経が抜群だったり(リレーで足の速い園児に楽勝)、園長先生の運転を見ただけでバスの操作方法を覚えたり(しかもマニュアル車)と、意外な才能の数々を秘めています。シリーズ初期から登場しているにもかかわらず本名は不明で、自宅の場所や両親の顔も隠されたままとなっています。
このように幼稚園児ながら個性豊かなメンバーがそろっているかすかべ防衛隊。普段の活動は幼稚園の担任・よしながみどり先生の自宅を秘密基地にして遊ぶ程度ですが、いざというときは春日部の平和を守るため、互いを励まし合って冒険に臨んでいくのです。その際の合言葉はもちろん、「かすかべ防衛隊、ファイヤー!」。個性豊かな子どもたちが人気の秘密なのは間違いないようです。
◆ケトルVOL.53(2020年4月15日発売)
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