現役の雑誌編集長が語る「リモートワークだけで雑誌は作れるのか?」

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世間一般が外出自粛を余儀なくされる中、雑誌業界がその例外になり得ないのは当然のこと。これまでリモートワークとはまるで無縁で、外出と“3密”が当たり前だった雑誌編集部は、どうやって雑誌を作っているのか? カルチャー誌『CONTINUE』の編集長・林和弘氏は、現在の状況についてこう語る。

「ウチの会社も3月末からリモートワークに入って、なんやかんや5月末まで自宅で仕事することになりましたから。だから今号って編集部のメンバー、ほぼほぼ顔を合わせてないと思いますよ。

それでも(雑誌が)作れちゃうからビックリですよね(笑)。もともと第一特集を月ノ美兎さんにしようっていうのはリモートワーク前に決まってましたから、そこさえブレなければ、まあ、どうにかなるんだなあ、と。編集部も3人しかいませんから、情報共有もLINEでやれちゃいますし。そういう意味では、実務的に困ることはなかったです」

リモートワーク中には、Skype会議をやっている時に急に子どもから呼び出され、何事かと焦ったら、「見て見て! リュウグウノツカイ釣ったよ!」(大ヒット中のゲーム『あつまれ どうぶつの森』の話)というオチだったこともあったとか。リモートワークでの雑誌作りは初めての経験だが、思いのほか順調だという。

「これはリモートワークの副産物だと思うんですけど、まず朝5時半に起きて、近所をウォーキングするようになりました。いきなり走ると死んじゃうので(苦笑)。それで朝9時くらいから子どもの勉強を見つつ仕事を開始。あとは、もう延々……というか、ダラダラ18時くらいまでやって、晩ご飯を食べて寝る。間に『森』とか入るんですけど、基本はずーっと仕事してますね。しかもウィークデイと土日の区別がないですから、珍しく優良進行という(笑)」

プライベートでは、本・ゲーム・ドラマなどに積極的に触れ、情報収集に努めるようになったという林氏。状況の変化は、雑誌づくりにも確実に影響してくると予想する。

「いまコロナの影響で、みんな暇してるからだと思うんですけど『私のオススメする○○』みたいなのがSNSで流行ってるじゃないですか? ああいう形で見返りを求めない愛に裏付けられた情報を個人が発信して、それによってアマゾンのランキングに聞いたこともないような古典がランクインする、ということが実際に起こってますよね。

あと僕もやってますけど、Spotifyでプレイリストを発表する人も、目に見えて増えてきた。これまで、そういうのってインフルエンサーっていう僕の一番嫌いな人たちが金のためにやってることだと思ってたんですけど(苦笑)、そのあたりの潮目が、いよいよ変わってきたな、というのがあって。こういうところに新しいヒントがあるんじゃないかな、といまは思ってます。

あと、広瀬姉妹のインスタライブって観ました? あれを観て『あーいま「玄関」(※注:大塚ギチと林による対談連載。何の役にも立たない議論を毎号掲載していた)やってたら、絶対「付き合うならどっち?」ってやってたなあ』とか(笑)。もともと『CONTINUE』って、そういう雑誌ですから。だから、そういう瞬発力を、この機会に取り戻したいな、というのはありますね」

まだ都内は緊急事態宣言が解けておらず(5月19日時点)、コロナ収束の目処が立ったとは言えないが、雑誌界が“アフターコロナ”で変わっていくのは間違いなさそう。ただ、リモートでも雑誌が作れることが分かったことは、1つの大きな収穫だったようだ。

▼『CONTINUE』編集部によるSpotifyプレイリストはこちら
The music listened to by the editor-in-chief of CONTINUE, Japan’s number one game and anime magazine
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◆CONTINUE Vol.65(2020年5月25日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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