国の軌跡を未来に伝える「公文書館」 図書館とは何が違う?

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何か調べ物をしたい時、静かに勉強がしたい時、ちょっと時間がある時、純粋に読書をしたい時……生活に潤いと彩りを与えてくれる図書館が、心を癒やす場所だという方は多いと思いますが、“文字が記されたもの”が集まったもう1つの場所が「公文書館」です。あまりなじみがないかもしれませんが、全国の多くの都道府県に設置されており、市町村単位で公文書館を持つ自治体も少なくありません。

歴史資料として重要な、行政や司法の記録を保管する公文書館。刊行された本を中心に収集する図書館との違いは、元々は購入できない資料を扱うこと。また、同じく自由に購入できない資料を展示する施設の代表、博物館と比べると、文書に特化していることが特徴です。そう言われても、よくわからない「公文書」。たくさんある公文書館のひとつ、国立公文書館のコレクションを例に見てみましょう。

筆頭は日本国憲法の公布原本。本や新聞に掲載された形で目にすることが多い憲法ですが、もちろん原本が存在します。また、国を代表して外交を行う権限があることを示す委任状も納得の公文書ですが、実は印影のない草稿、つまり下書きも、公文書なのです。

さらに同館は伊能忠敬の測量に基づく絵図、日本で最初と言われる学校運動会の和文と英文の競技プログラム、1522年に書写された『後撰和歌集』などの古文書も所蔵。しかもここで挙げたものはすべてデジタルアーカイブされて自由に利用可能。これこそが、共有の知的資源とされている公文書の性格を表しています。

国立公文書館があるのは、皇居にほど近い北の丸公園(東京都千代田区)の中。近隣には東京国立近代美術館や科学技術館、さらに日本武道館などもあり、散策するにはうってつけの場所です。誰でも気軽に利用することが出来るので、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

◆ケトルVOL.55(2020年8月17日発売)

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ケトル VOL.55-太田出版

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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