医師、デザイナー、料理人は、その分野の業界漫画をどう読んだ?

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ギャグ漫画、少女漫画、恋愛、スポーツ、歴史、サスペンス、グルメ、ヤンキー、SF……漫画のジャンルは非常に広いですが、近年目立つのが業界漫画。「こんなものまで」と言いたくなるようなニッチなテーマの漫画もありますが、こういった業界漫画を、その分野の専門家はどのように見ているのでしょうか?

医師で、NewsPicksの経済トークバラエティ番組『OFFRECO.』にレギュラー出演中の大室正志さんは、『麻酔科医ハナ』(なかお白亜/双葉社)についてこう語っています。

「医療漫画の描写は難病患者や難手術、権力闘争に明け暮れる医師たちなどとかく『過剰』になりがち。その中においてこの漫画は麻酔科医の仕事、外科医との関係や若手医師の私生活まですごくリアルです。よく取材されているなと感じます。

(中略)医師には麻酔科や放射線科や病理科などDoctor for Doctor(医師のための医師)と言われる仕事があります。これらの仕事は患者側からは垣間見られませんので、病院を多面的に理解する上で役に立つと思います。私が研修医になって最初の配属が麻酔科でした。病院から離れた今もたまにあの緊張の日々を思い出します」

ファッションデザイナーのMIYANISHIYAMAさんが選ぶ一冊は、『デザイナー』(一条ゆかり/集英社)。人生に疲れ果て、何もかも忘れて別荘で休養するも、つい無意識にデザインのことを考えてしまう主人公の姿に自らを重ねたそうです。

「私もふとした瞬間無意識に新しいデザインのことを考えてしまっていて、どんな場面でも何を見ても聞いても新しいデザインを思いつくと、すぐにアトリエに戻って形にしてみたくなります。それは疲れていたり追い詰められたりすると尚更感覚が研ぎ澄まされるような感じです。

ファッションの世界に限らずですが、自分の感じる限界は実はチャンスなのだと思います。限界まで来たから見える未来があると思います。何事も諦めずに切り開いていける強さを持ってファッションの世界に飛び込んでもらえたらなと思いました」

32歳で料理の世界へ飛び込み、2018年にオーナーシェフとして「sio」をオープン。『ミシュランガイド東京2020』で1つ星を獲得した鳥羽周作さんは、『バンビ~ノ! SECONDO』(せきやてつじ/小学館)で、多くのことを学んだそうです。

「毎日が戦い。そして目の前のお客様に全力を尽くす。僕らレストランは間違いなくこの言葉に尽きます。華やかに見えるレストランですが、そこにはたくさんの人が関わっていて、表に出ないところにもストーリーが当然ある。それも含めて華やかで尊いのがレストランかなと。料理人としても経営者としても心に響く、本質のあるパンチラインが随所にあって、今読んでも学びがあります。どんだけ愛があるかって話なんですけどね(笑)」

漫画というと、かつては「そんなものばっかり読んで!」と、親や教師から嫌われたものですが、今や学びのアイテムとして、そして興味の範囲を広げるきっかけとして最適な物へと進化。「スマホを見ているヒマがあったら、漫画でも読みなさい」と言われる日も遠くないのかもしれません。

◆ケトルVOl.55(2020年8月17日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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