デビュー作の『夫のちんぽが入らない』が大ヒットした「こだま」の待望の新刊『いまだ、おしまいの地』が9月に発売された。デビュー作がNetflixでドラマ化され、作品が世界へと羽ばたいても、いまだ“おしまいの地“で暮らすこだま。前作『ここは、おしまいの地』は殺風景なカバーだったのに対し、今作は「猫」だが、これはどういった心境の変化なのか? 2020年8月26日発売の『クイック・ジャパン』vol.151で、こだまはこう語っている。
「習い事をはじめて地域の老人の輪に交ざったり、詐欺師の実家に知人らと乗り込んだり、エッセイ賞を受賞して周囲のありがたみを感じたり。人との関わりが増えました。そんな体温を感じるカバーにしようと、山口県の自然豊かな祝島で写真を撮っている知人の堀田さんの作品を使わせてもらいました」
『夫のちんぽが…』に続いて発表した『ここは、おしまいの地』(2018年)は、講談社エッセイ賞を受賞。新作は『クイック・ジャパン』に連載された2018年以降の話しを収録したものだが、この間には悲惨な事件もあったという。
「SNS上の面識のない人に40数万円を振り込んじゃったことですね。両親は他界、手術費が必要、家賃も払えないという典型的な嘘を信じ、周囲から『アホか』と呆れられました。そのお金を取り返しに行った日のことが忘れられません」
この3年間には、精神的に参ってしまうこともあり、今年に入るとコロナウイルス騒動も勃発。それでも「自分はこのままでいいんだ」と、読者に優しく寄り添うような心地よさが彼女のエッセイの魅力だが、新刊にはどんな思いが込められているのか?
「なにをしても自信を持てない、人とうまく関われない、失敗ばかりする。そんな人間でも少しだけ生きるのが楽になったよ、と同じ思いをしている人に伝えたいです」
『いまだ、おしまいの地』(太田出版)は2020年9月2日発売。1300円+税。
◆『クイック・ジャパン』vol.151(2020年8月26日発売/太田出版)
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