眠れない夜はインターネットの話でも
第14回

デジタルネイティブ女子鼎談 「みんなが好きなもの」の功罪とは

眠れない夜はインターネットの話でも
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塩谷舞・石井リナ・大久保楓、デジタルネイティブと呼ばれる3人による鼎談第14回。情報感度の高い彼女達の話題は、ビジネス、SNS、話題の作品にと、様々な方向に飛び……。

ステップアップは良き縁と共に

舞:リナちゃん、お誕生日おめでとう。BLAST Inc.の資金調達も決まったし、おめでたいことが続くね!

リナ:ありがとうございます。これまでも投資してくださっていた個人投資家の赤坂優さんに加え、ベンチャーキャピタルのANRIに引受けていただけることになりました。ANRIで資金調達のコーディネートを担当してくださった江原ニーナさんは、まだ23歳。ベンチャーキャピタルも起業家も男社会なので珍しい存在なんです。女性の社会進出にも積極的ですごくシンパシーを感じました。一緒に変えていけたらと思っています。

舞:風穴を開けたリナちゃんはすごい。良い縁に恵まれたね!

リナ:はい! 実は、ぷるこちゃんにも「Nagi」のSNSコンテンツ制作を手伝ってもらいます。

舞:それも縁だね。楓ちゃんは最近、動画制作の調子どう?

楓:個人の動画制作よりも、企業やブランドの動画ディレクターのお仕事が多くなっています。

舞:そうしたら最近はPC?

楓:全然! 大体の作業はiPhoneやiPadでできますし、やっぱり縦動画の編集だと、PCの方がやりづらいなあ、と。たぶん少数派ですが(笑)。そういえば、お引っ越しされたんですよね?

舞:うん。緑の多いニュージャージーに。とはいえ、そこまで郊外でもないんだけど。ただ、家賃は随分安くなったのに、家のサイズが3倍くらいになってしまって……ちょっと持て余しています(笑)。落ち着いたらまた泊まりに来てー!

リナ・楓:いきまーす!

「みんなが好きなもの」の功罪

舞:注目しているSNSの新機能とかある?

リナ:Instagramのガイド機能は気になっています。いわゆる「まとめ」ですね。写真に加えて動画やテキストを交えた記事が作れるし、また新しい可能性が増えましたね。

舞:それはInstagram経由のお買い物がさらに加熱しそう。

リナ:ただ、すでにInstagramにはストーリーやリールなどの機能もあるのに、さらにガイドも、となると、インフルエンサーへの期待や負担は大きくなりそうですね。

舞:普段から自分で使っていないと難しいしね。最近、私自身はもう割り切って、自分の興味を深めるためだけにSNSを使ってます……。

楓:それ、めっちゃわかります!私も以前は、「みんなが好きなもの」が好きだったからSNSをよく使っていたけど、環境問題に関心が移ってからはこだわりが出てきて。そうなると発信する頻度は減っちゃいますよね。

舞:そっちが健全かも。SNSのアルゴリズムに影響力されすぎて、個性がどんどん均一化されちゃってる気もする。

楓:それこそ 「このブランドのこのワンピース」みたいな形で商品がバズることが多くて、しかも一度バズると数万リツイートも普通。それを見て、ブランド側もニーズに対応しているからか、街中に同じ格好の人がいっぱいいますよ(笑)。

舞:でもそれで思い出したけど、私が小6くらいの頃も、本当に右も左もみんなが同じGAPのトレーナーを着てたよ。もちろん私も(笑)。

リナ:あ、その現象には心当たりがあります! ユニクロのフリースも流行ってましたよね。

楓:なんなんですか、そのトレンド(笑)。

舞:SNSがなくても、そういう現象はあったってことか。ただ、私はそのトレーナーを2シーズンぐらい着てたと思う。今は消費のスピードがすごく速くなっているのは確かだよね。

実は日本の環境がスタートアップに適している!?

リナ:ハマっているコンテンツってありますか?

楓:リナさんも言ってた「Nizi Project」と、韓国ドラマ「サイコだけど大丈夫」と「梨泰院クラス」を見ています!

舞:多いな(笑)。私は「のだめカンタービレ」を再度一気見して、十数年ぶりにまた感動してた! ただ、昔と違うのが、パワハラやセクハラ描写に気が向いてしまったこと。世間や自分の変化を感じます。このことは原作者の二ノ宮知子先生も感じられているそうでSNSで注意喚起してました。リナちゃんは?

リナ:友人が出演していることもあってドラマ「半沢直樹」を。

舞:7年前、男女の役割が固定化されすぎてると感じて……あまり観たことがないんだよなぁ。

リナ:登場する会社員やキーパーソンがほとんど男性で、女性は良妻賢母的な役割しか期待されていないとか、言いたいことはたくさんあります。それでも、物語や役者さんの演技はすごく面白いんですよね……(苦笑)。

舞:そうなんだ! 最近はジェンダーバイアスに挑むような配役・脚本のドラマも増えてるけどね。それが事実か、というとまた異なるんだけど……。

リナ:日本だとそもそも現実社会でトップを張るメンバーが全て高齢男性っていうケースが多すぎませんか?

舞:メンバーの中に1人くらいは年長者がいてもいいと思うけれど……。

楓:全員がおじいさんである必要性はないですよね。

リナ:外国から、おじいさんしかいない国に見られてそう(笑)。それほど人材が枯渇しているのでしょうか。日本の将来が心配になってしまいます。

舞:米大統領選も現状は74歳トランプ対77歳バイデンのおじいさん対決だからなぁ(苦笑)。

リナ:世界には、そうじゃない国もあるのに……って。日本で女性の社会進出政策が先送りされたりすると、本当に暗い気持ちになります。

舞:心配は尽きないけれど、スタートアップ企業に日本は悪くない環境だと思うんだよね。1億人のマーケットがあって最低限の投資を受けられる土壌はあって、物づくりや労働力のクオリティも高い。リナちゃんも日本でさらに力を養って、世界を目指してほしい。BLAST Inc.の理念を私も応援してるからさ!

リナ:ありがとうございます。頑張ります!

【プロフィール】
大久保 楓/元YouTuber。現アパレルブランドLOLIPOPKNIFEクリエイティブディレクター。1999年生まれ。SNS総フォロワー数10万人を超える。18歳での起業も話題に。

石井リナ/BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント。1990年生まれ。『Instagramマーケティング』共著。現在は起業し、動画メディアBLASTの運営を行う。

塩谷 舞/milieu編集長。1988年生まれ。東京とニューヨークの二拠点生活中。大学在学中に『SHAKEART!』創刊。Webディレクター・PRを経てフリーランス。

◆ケトルVOL.56(2020年10月15日発売)

【関連リンク】
ケトル VOL.56-太田出版

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

筆者について

塩谷舞 × 石井リナ × 大久保楓

しおたに・まい。milieu編集長。1988年生まれ。東京とニューヨークの二拠点生活中。大学在学中に『SHAKEART!』創刊。Webディレクター・PRを経てフリーランス。

塩谷舞 × 石井リナ × 大久保楓

いしい・りな。BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント。1990年生まれ。『Instagramマーケティング』共著。現在は起業し、動画メディアBLASTの運営を行う。

塩谷舞 × 石井リナ × 大久保楓

おおくぼ・かえで。元YouTuber。現アパレルブランドLOLIPOPKNIFEクリエイティブディレクター。1999年生まれ。SNS総フォロワー数10万人を超える。18歳での起業も話題に。

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