太古の昔、アジア大陸は陸続きだった? 今も変わり続ける日本の領土面積、そのカギを握るのは“海”なのでしょうか。
4月27日に発売された『大人になっても困らない 日本―東京 50の意外な地理・歴史』(吹浦忠正・著)では、「日本の最東端はどこ?」「日本で唯一、砂漠があるのはどこ?」など、答えられそうで答えられない日本と東京の知識を50問のクイズ形式で紹介しています。
ここでは、本書の中から特別にその一部をご紹介します。(全6回)
Q.日本で最も長い海岸線をもつ都道府県は北海道(北方領土を含む)。では2番目はどこ?
①東京都
②沖縄県
③長崎県
北方四島1348kmの海岸線を含んだ場合、北海道の海岸線は4461km。長崎県は面積では37位だが、島原半島をはじめとして湾や入り江が多いほか、五島列島、壱岐、対馬など島嶼地域も多く、海岸線は4183kmと非常に長い。3位は鹿児島県の2665kmだが、薩摩半島、大隅半島に加え奄美島をもってしても長崎県には遠く及ばない。次いで沖縄県が2037km、東京都は島が多いものの海岸線は762kmと15位にとどまる。
では、海岸線が最も短い都道府県は? これは栃木、群馬、埼玉、山梨、長野、岐阜、滋賀、奈良の「海なし」8県で、海岸線は当然ゼロ。
しかしながら海なし県のはずの群馬県の邑楽台地や、埼玉県の大宮台地などには海食による地形が残り、貝塚跡なども見つかっている。これは1万~6000年ほど前に「縄文海進」と呼ばれる海面上昇が起こり、この地域が海岸線になっていたためだ。
古代まで遡らなくても、徳川幕府による大規模な利水・治水は、関東地方の地形をかなり変えている。霞ヶ浦が「香取海」と呼ばれる内海だったように、江戸時代以前の房総半島は川や内海が外敵の侵入を防ぎ、安定した気候は豊富な農産物を、温暖な海は海産物をもたらしていた。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見ても、伊豆や相模の武将たちよりも、安房や上総の武将たちが大らかに映るのは、地理的な要因も影響しているのかも。
A.…… ③
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本書『大人になっても困らない 日本―東京 50の意外な地理・歴史』では、他にも、社会で意外と役に立つ、日本と東京の「なるほど!」な知識を50問のクイズ形式で紹介しています。
吹浦忠正・著『大人になっても困らない 日本―東京 50の意外な地理・歴史』(太田出版刊)は全国の書店・各通販サイトで発売中です。また、電子書籍版も各配信サイトにて配信中。新生活や行楽シーズンのおともに、日本と東京をもっと知りたいという人におススメの一冊となっています。
筆者について
ふきうら・ただまさ 1941年秋田市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了後、大森実国際問題研究所主任研究員、その後、国際赤十字海外駐在代表として、東パキスタン(現バングラデシュ)やベトナムに駐在。歴代首相のご意見番と言われた末次一郎に師事。難民を助ける会副会長(現・特別顧問)、埼玉県立大学教授(政治学)、東京都生涯学習審議会委員などを経て、現在、社会福祉法人さぽうと21会長、NPO法人ユーラシア21研究所理事長、NPO法人国旗・国歌研究協会共同代表、内閣府オリ・パラ・ホストタウン国旗講座講師、法務省難民審査参与員、パシフィック・フィルハーモニア東京理事など。1964年のオリンピック東京大会組織委員会をはじめ、札幌、長野、東京2020の各オリンピックでは、国旗や儀典に関わる。2018年度からの「道徳」教科書(日文教)で「東京オリンピック 国旗にこめられた思い」の主人公として登場中。214週にわたり週刊新潮で「オリンピック・トリビア」を連載。著作は70冊以上、テレビ出演多数。