TV出演も多数、SNSでも話題のお笑いコンビ・マシンガンズの滝沢秀一が贈る、身近なごみの処理の仕方を50問のクイズ式でまとめた書籍『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』がOHTABOOKSTANDの試し読みに登場!
本書の中から特に気になるごみの捨て方をピックアップしてご紹介します。(全7回)
前回の記事で”最終処分場の寿命”について触れました。ごみの行方・処分場の未来について滝沢清掃員が学び、感じたことに触れ、これからのごみとのつきあい方を一緒に考えてみましょう。
※この記事は2019年8月に発売された『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』の内容をWEB用に再編成したものです。
「燃やせば終わり」ではない、ごみの行方
滝沢清掃員にも子供の頃があったんだ。不思議でしょ? ごみ先生が子供の頃には、プラスチックは「不燃ごみ」だったんだ。でも今は「可燃ごみ」だよね? ビデオテープ、歯ブラシ、虫かごなんかも今は可燃ごみ。
なんでだと思う?
もう、ごみの最終処分場(埋立地)がパンパンだからなんだ。
処分場は、可燃ごみの灰と不燃ごみを埋める所なんだけど、そこがいっぱいになっちゃいそうになったから、それ以前は不燃ごみだったものでも、なんとか燃やせそうな物は燃やそうっていうことになったんだ。
不燃ごみのまま埋めるより、燃やして灰にすれば、ごみがちっちゃくなって場所を取らないからね。
だからプラスチックは可燃ごみになった。ごみ焼却炉の性能によって(つまり地域によって)は、まだ不燃ごみ扱いの所もあるけど。じゃあ、昔からもともと燃やしておけば良かったじゃないかって? 確かに、そう思うのが普通だよね。
じつは1994年頃に、ごみ焼却炉の性能がアップしたんだよ。昔は低い温度しかで燃やせなかったから、プラスチックを燃やすと、「ダイオキシン」という人体に有害な物質が発生した。だからプラスチックは不燃ごみだったんだけど、その後研究が重ねられて、850℃以上の高温で燃やせば、ダイオキシンが抑制できることがわかったんだ。
だから今は、プラスチックは可燃ごみとして出せる所が多くなっている。
そのおかげで東京都の埋立地の寿命も残り約30年から約50年に延びたんだ。
でもちょっと待って! 延びたと言っても、みんなの使い方によってはあと50年しかもたないの?
どうしよう?
じつは、その先のことは今も何も決まっていないんだ。
このままのペースだとあと50年で埋立地がいっぱいになるんだから、まずは今からなるべくごみを出さないようにして、埋立地の寿命が少しでも長くなるようにみんなで協力しよう。
ところで、こんなことを思わない? 「どこかに新しい埋立地を作ればいいじゃん」って。じゃあ、もし君の家の隣にごみ最終処分場を作るって言われたら、どう? イヤじゃない? 毎日トラックがやってきて、ごみを捨てていくんだ。嫌がるのはみんな一緒。
だから、今ある最終処分場を大切にしようね。
街がごみだらけになったら…
もし街がごみだらけになったらどうなると思う?
イタリアのナポリって知ってる? 昔からすごくきれいで“一度は行ってみたい街”って言われていたんだけど、数年前、ごみだらけになってたんだ。
ナポリの場合は最終処分場の問題ではなくて、回収の仕組みのトラブルで街からごみが消えなかったらしいんだけど、古くなったごみはすごく臭くなって、ゴキブリなんかが溢れた。中には放火をする人もいてとても危険なんだけど、ごみがあまりにも多くて回収するのが大変だったみたい。
あと韓国も大変だって聞いたよ。今までは海外にごみを買い取ってもらっていたんだけど、「もう受け入れない」って言われちゃって、ごみの行き場がなくなってるんだ。
ごみは古くなるとガスが溜たまって勝手に燃えだしてしまうんだ。「燃えるならいいじゃん」と思うかもしれないけど、さっき言ったとおり、高温で燃やさなかったらダイオキシンが発生してしまう。消しても消しても次から次へと火がつくみたいで、今、大問題になっているんだって。
もし、日本でも何らかの理由でごみ回収ができなくなったら、これと同じようなことが起こるかもしれない。
だから、目の前からごみがなくなればそれでオッケーってことではなくて、そのごみが最後にどうなるのかを考えてみようね。
ごみ先生は、やっぱりなるべくごみを出さないっていうことがいちばんの解決策だと思うんだけど、みんなはどう思う?
* * *
本書では他にも、使用済みのオムツやピザの箱、乾燥剤や保冷剤の捨て方について分かりやすく解説しています。『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(滝沢秀一=文、ニコ・ニコルソン=イラスト)は全国の書店・電子書店で大好評発売中です。
この本を読んで、一緒に『ごみ育(いく)』を始めてみませんか?