番組制作が完全にストップ その時、人気番組のPは何を思った?

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コロナウイルス騒動により、“三密”が避けられないテレビの番組制作が困難を極めています。スタッフにも複数の感染者が発生。出演者は減り、タレントがリモートで収録に参加する光景はすっかり当たり前になりましたが、従来のやり方が通用しなくなった時、どんな方向に活路を見出したのでしょうか? 『水曜日のダウンタウン』(TBS)で、演出家兼プロデューサーを務める藤井健太郎さんは、『ケトルVOL.54』(2020年6月15日発売)で、このように語っています。

「リモートでもできることはないかと試行錯誤したのですが、現状のTBSのルールにハマらないことが多かったんですね。ならいっそ、中途半端になるより、この状況が落ち着いてからできることを考えた方がいいなと。閉じ込められたものが一気に解放されることで、何らかの爆発が起こるかもしれないじゃないですか。個人的にはそれに期待しています」

TBSは、他局に先駆けてドラマやバラエティの制作を見合わせることを発表。『水曜日のダウンタウン』も例に漏れず、再放送や特別編への変更が続いていますが、あえてジタバタしなかった背景には、冷静な分析もあったようです。

「温度感が日々変わるので、茶化していいこと、いけないことの線をどこで引けばいいのか判断が難しいですよね。人によって生活へのダメージもまったく違いますし。ある人は笑えるけど、ある人は笑えない。そういう状況が生まれていると思うんです。ただ、僕自身はなるべく何でも笑えるものにしたいと考えていて」

テレビマンに一筋の光明が差したとすれば、在宅時間が長くなることで、テレビを見る人が増えたことでしょう。この状況がいつまで続くかについては、「今は考えられないのが正直なところ」と、率直に語る藤井さんですが、プロデューサーを務めた『ザ・ドリームマッチ2020』は、緊急事態宣言発令直後の放送となったことで、多くの視聴者の目に触れることになり、番組がネットで大きな話題になりました。藤井さんには、まだ実現できていない企画や、自粛期間に思いついたアイデアがあるそうで、難しい状況でも、

「僕たちがどんなに大変な思いをして面白い番組を作っても、視聴者に観てもらえなかったら何の意味もないですから」

と、番組作りへの思いは尽きないよう。騒動が収束した折には、また楽しい番組が期待できそうです。

◆ケトルVOL.54(2020年6月15日発売)

【関連リンク】
ケトルVOL.54

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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