深夜番組からゴールデンのレギュラー番組となった『有吉の壁』(日本テレビ系)で、深夜時代から活躍し続けてきたのが、とにかく明るい安村。がむしゃらに笑いを取りに行くスタイルは、まさに“ミスター壁”と呼ぶに相応しいが、そのパワーの源は何なのか? 2020年12月25日発売の『クイック・ジャパン』vol.153で、安村はこう語っている。
「“『壁』の安村はドキュメンタリーだ”みたいなことはよく言われます。でもそんなつもりは一切ないんですよ。実力がないから、ほかの人が80くらいの力でやるところを僕は120でやらないと並べないんです。もうとにかく、余計なことは考えずに一生懸命やりきる。それだけです。
ほかの人は売れてるからいろんな仕事もあるけど、僕は『壁』オンリーなんで集中できますしね。番組がはじまった2015年はちょうど僕が売れかけてたときで、そのあと仕事がなくなったときも、ずっと『壁』は出してくれた。その感謝がもちろんあるし“結果残さなきゃ”って気持ちがノります」
丸坊主になったり、眉毛を剃ったり、自宅の部屋でバケツの水を何杯もかぶったりと、体を張ったネタを連発してきた安村。出演する芸人はコンビやトリオが多いが、ピン芸人であることも“過激路線”に拍車をかけているという。
「明日のことは考えない。それでもびっくりするくらいスベるときがありますから。特に僕はピン芸人だから、スベったときのダメージはコンビやトリオの人の倍以上なんですよ。積極的にほかの芸人とやることもないですし。『壁』でみんながコラボしてるのを見ると『いいなぁ』とは思ってます。でもやっぱり、ひとりでやりたい。そうじゃないとウケたときのうれしさが半減する気がするんです」
辛口で鳴らすマツコ・デラックスからも絶賛された安村。そこまで体を張れる背景には、司会の有吉への信頼感があるようだ。
「有吉さんは、怖いです(笑)。全部バレるんです。見透かされる。どんなにウケてても『面白くない』って言われるときもあるし、手抜いたりなんかしたら本当に速攻でバレる。そのぶん、スベっても『良かったよ』って言ってくれるときがいちばんうれしいです。頑張ったけどダメだったときでも、ちゃんと見てくれてる。直接じゃなくても放送時にtwitter で『あれ意外と面白かったな』って書いてくれたり。YouTube もHuluも、有吉さんは全部観てくれてるんですよ」
今では出演する芸人にアドバイスを送ることもあるという安村。先頭に立ち、スベリも恐れずに突き進む彼がいる限り、『有吉の壁』の勢いが衰えることは当分なさそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.153(2020年12月25日発売/太田出版)
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