西川貴教 『ANN』で貫いた「ハガキを読むときはいつも本番一発勝負」

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ニッポン放送の名物番組『オールナイトニッポン』(ANN)は、しゃべりのプロであるお笑い芸人はもちろん、数多くのミュージシャンもパーソナリティを担当してきたが、中でも高い人気を誇ったのが西川貴教。現在は、『西川貴教のちょこっとナイトニッポン』(月~金 20:50~21:00)を担当しているが、深夜時代と今ではリスナーはどう変わったのか? 『ケトルVOL.45』のインタビューで、西川はこう語っている。

「最初の頃はリスナーの投稿もメールではなくFAXで、ハガキも多かった。今は生放送だとリスナーがメールやツイッターでリアルタイムに反応を返してくれますけど、それは要するにラジオ以外のメディアも見ながら番組を聴くのが当たり前になっているということですよね。だから今のパーソナリティには、そういったリアクションからトークを広げていく能力が求められているのかもしれません。

でも、それも大切だと思う一方で、僕がANNを始めた頃は、いかに自分のしゃべりからリスナーを離さないように集中して聴いてもらうかっていう力が要求されていたと思います。だからこそ、聴いてくれているみんなのリアクションに熱がこもっていて、かえって生々しい感じがありました。そういう経験ができたのはありがたかったです」

結果的には、1997年から2005年まで8年も続いた西川のANN。今でも復活を望む声は少なくないが、西川はANNを担当するに際し、彼ならではのルールを設定していたそうだ。

「パーソナリティにはいろんなスタイルがありますけど、僕は聴いてくれているみんなと同じ感覚でいたいというのが強かったですね。だから放送は一発勝負。ハガキは本番で初めて読むっていうのを最後まで徹底していました。嘘くさいリアクションをしたくなかったんです。

ハガキを書いてくれたやつらは、僕に渾身のネタを託してくれていたわけじゃないですか。だから僕がどう感じたかってことを伝えるよりも、やつらが書いてくれた面白さを聴いている人にきちんと届けたいと思っていましたね」

ハガキ1枚1枚にその場で対応できるのは、常に一発勝負のミュージシャンならではだが、それを可能にしたのは、“リスナーへの愛情”だったようだ。

◆ケトルVOL.45(2018年10月12日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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