シンガーソングライター岡林健勝によるソロプロジェクト、Ghost like girlfriendの初のフルアルバム『Version』が6月に発売された。まもなく25歳の誕生日を迎える岡林は、兵庫県淡路島出身だが、音楽活動はどのようにスタートしたのか? 2019年6月26日発売の『クイック・ジャパン』vol.144で、岡林はこう語っている。
「地元の淡路島が、ライブハウスとかがない環境だったので、披露する場所がなくて。試しに弾き語りでデモを送ったら反応をいただけて所属になりました。だからアレンジはやってなかったんですけど、きっかけはその事務所をやめたときです。音楽やめようかなと思ったんですけど、やっぱり続けたいな、じゃあなるべく自分で責任を取れる方法とはなにかなと思ったときに、詞曲の次に自分の血を通わせられるものはアレンジだなと」
そして、自分が聴いてきたルーツをまったく参考にせず、特定のジャンルに寄ることもない独特の音楽を生み出した岡林。彼の音楽は歌詞の言葉選びも独特だが、これは何から影響を受けたものなのか?
「言葉選びに関して言うと、大学時代にコピーライターの方とツイッターで知り合いになって、そこからいろんなコピーライターの本を読んだりしたので。それを機に、わかりやすい言葉で、かつ少ない文字数で、中身があるっていう言葉が好きになって。難しい言葉を使わずに、でも中身があるものを、っていうのは、コピーから影響を受けてるっていうのはありますね」
そういった努力の結果、生み出された歌は、赤裸々に自分のことをつづったものばかりだ。「(曲を)日記的な感覚で書く」という岡林だが、彼はそこにどんな思いを込めているのか。
「同じ気持ちの人がいたらいいなとは思うんですけど、最悪わかってくれなくてもいいから、こういう気持ちが少なからずこの世界には転がってる、っていうことが伝わればいいな、という感じなので。だから、聴いてくださっている方が本当にいるって信じられた瞬間に、曲の書き方とか、向ける矛先とかが変わると思うんですけど。人を信じられるようになったら、変わるんじゃないかと思うんですけど、今のところは変わってないですね」
すでにオリジナリティあふれるサウンドを創り出している彼に、“誰かを信じられる日”が来たら、どんな音楽が生み出されるのか? 彼の前にはまだまだ無限大の可能性が広がっているようだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.144(2019年6月26日発売/太田出版)
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・クイック・ジャパンvol.144
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