5月20日に行われた将棋の電王戦二番勝負の第2局で、佐藤天彦名人が「PONANZA」に敗れ、2連敗という結果に終わりました。すでにチェスや囲碁でトッププロがコンピューターに負け、“最後の砦”とも思われた将棋でも人間が敗北しましたが、この後AIはどこに進むのでしょうか?
Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラム「AlphaGo」が、2016年3月に世界トップクラスの韓国人プロ棋士・イ・セドル九段に勝利しました。人間のプロ棋士をコンピュータ囲碁プログラムがハンディキャップなしで破ったという事実は、世界中で話題になりました。これは近年に耳にすることが多くなった、膨大なデータを取り入れ分析していくことで機械が自動的に学習する「ディープラーニング」によって成し遂げられたもの。「Alpha Go」は、膨大な数の対局を自身のプログラム内で行い、学習したのです。
2014年4月、イギリスの大手新聞『The Guardian』が、「冗談ではない。ロボットが人間に代わる時が来る」という記事を載せました。人工知能の発達により、人間の仕事がロボットに奪われてしまう可能性を示唆しています。2015年、野村総合研究所がオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士と行った研究によれば、10年から20年以内に、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能だそうです。
アメリカのフューチャリストであり人工知能研究の世界的権威として知られるレイ・カーツワイルは、2005年に『The Singularity Is Near(シンギュラリティは近い)』という書籍を上梓しました。シンギュラリティとは、人工知能があらゆる点で人間を超越し、自ら技術開発を行い行動する技術的特異点のことで、2045年にそれは訪れるとのこと。本書では、2020年にはロボットが教育を受けた人間と同等の知性を得ると書かれています。ボードゲームの世界ではすでにある程度の優劣が判明しましたが、“Xデー”はもうそう遠くないのかもしれません。
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