14年間で万引き推定6000回 女性はどうして万引きを続け、そしてやめられた?

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これは特別な物語ではない。あなたの身近にある話かもしれないし、もしかしたらあなたの事かもしれない。軽い万引きなどもちろん存在しない。万引きは窃盗罪だ。何回も逮捕されれば、刑務所に行くことになる。しかし“万引き女子”の未来(みくる)は、28年の人生のうち、実に14年を万引きに依存して生きてきた。

『万引き女子〈未来〉の生活と意見』(太田出版)は、14年間で推定6000回も万引きをした未来の物語だ。未来は4回の逮捕経験があり、鑑別所を1度、刑務所生活を2度経験。2016年6月に出所した後は、某メーカーの受付事務員として働いている。

幼い頃より母親から虐待を、父親から性暴力を受けて育ち、そして万引きへと走った未来。過去には、留置所を出た直後や、仮釈放で刑務所を出た直後にも万引きを繰り返すなど、“万引きの虫”に取り憑かれていた未来は、なぜそこまで万引きに執着してしまったのか? 未来はその心境をこう自己分析している。

〈私はすべてにおいて「損をしている」気がしていました。誰かよりも、あの子よりも損をしている。いつも自分ばっかり損をしている。親があんなんで損をしている。あれもこれも買ってもらえなかった。お金を出してもらえなかった。何もかも自分で工面しなければいけなかった。損をしているから取り戻したい。1万円の物を盗んだら、1万円の「損」が「得」に変わる。そう思っていました。「こんなに損をしているんだから万引きしてもいいやん」という気持ちがありました〉

その間違った信念の結果、24歳の時に1回目の刑務所生活を、そして出所からわずか2か月後に再び逮捕され、2度目の刑務所生活を送った未来。刑務所には、同じ罪を繰り返して、一生刑務所を出たり入ったりする者も少なくないが、未来はどうして万引きをやめることができたのか? 未来は同書でこう語っている。

〈「万引きぐらい許される」とタカを括ってたのに、2回目の刑務所に行くことが決まったとき、はじめて「あたしの人生、万引きに食いつぶされてしまう、万引きやめたい」と強く思いました。万引きをやめたら盗めなくて「損をする」ことが口惜しい気持ちより、万引きのせいで失った家族や信用や時間の方が口惜しくなりました〉

2度目の出所後、実家に戻った未来が「本当にごめんなさい、これから宜しくお願いします」と頭を下げると、父と母から優しい言葉をかけられ、未来の中から「私の中に14年間棲んでいた〈万引きの虫〉」がいなくなる。なぜ万引きを我慢できなかったのか? どうして万引きをするようになったのか? どれくらいの頻度でやっていたのか? いま現在はどんな生活をしているのか? 未来がすべてを包み隠さず語る。

【関連リンク】
万引き女子〈未来〉の生活と意見

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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