酷暑が続くこの季節、冷やして食べるととても美味しいのがフルーツの缶詰です。しかし、冷静に考えてみると、フルーツ缶詰の中の実は、甘皮が綺麗に取り除かれています。あれはいったい誰がどのようにしてむいているのでしょうか?
ミカンの缶詰の場合、あの皮むきには、驚くべき技術が導入されていました。なんと、酸やアルカリによる化学反応を利用して、果肉を覆う甘皮を溶かしているのです。まずミカンの外皮を取り除き、塩酸を薄めた溶液の中に入れます。すると、甘皮を構成する成分が、化学反応によって水に溶けやすいものへと変化。次にミカンをアルカリ性の水酸化ナトリウム溶液に浸けることで、みるみるうちに皮が溶けていくという仕組みです。
一方、皮むき名人がいるのは、フルーツ王国・岡山県にある角南製造所です。清水白桃などの高級フルーツ缶詰を製造していますが、中でも注目は岡山県が国内シェアの9割を占めるマスカット・オブ・アレキサンドリア。かのクレオパトラも愛したといわれる極上品種です。
爽やかな風味をそのまま缶詰にするため、2か月の収穫期間で1年分の原料を調達するそうですが、その量、約15トン! 職人さんたちが皮むきや種取りをすべて手作業で行っており、機械では絶対真似できない作業だそうです。普段なにげなく口にしているフルーツ缶詰には、スゴい技や職人さんの情熱がいっぱい詰め込まれているのです。
◆ケトル VOL.25(2015年6月13日発売)
【関連リンク】
・ケトル VOL.25
【関連リンク】
・こだわりの八百屋が“ぐっと野菜がおいしそうに見える”陳列術解説
・魔女の宅急便、ガンダム、ゴッドファーザーに共通するキーワードは?
・「バターの正しい塗り方」を料理学校の製パン教授が解説
・「ご飯の友」はよく話題になるが、最強の「パンの友」は?