会社員なら必ずいつかは訪れるのが定年退職の瞬間。しかし、突然ぽっかりとヒマができたところで、何に時間を費やして良いのか分からない・・・というケースはありがちだ。そんな人々に、エネルギーを発散する場を提供すべく2000年に設立されたのが『高齢社』というファンキーな名前を掲げた会社。「会社」を特集のテーマとして取り上げた12月15日発売の雑誌『ケトル』が、同社を訪れた。
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『高齢社』の事業内容は、60歳以上の高齢者のみを派遣する人材派遣業。61歳で同社を立ち上げ、現在は会長職についている上田研二さん(73)が、もともと東京ガスの企画営業マンだった関係で、同社はガスメーターの検針員や警報器の取り付け業務など、ガス業界に多くの人材を派遣している。
現在、本部社員20人、派遣登録社員は500人以上と急成長中の同社。上田さんは、「年金があるし毎日は働きたくない。大好きなゴルフには平日割引を使って行って、土日に働く! 高齢者が望む働き方にメリットを感じるクライアントは、多いんです」と、成功の理由を語る。
『高齢社』の本部社員は年齢下限なしだが、中心はやはり60歳以上。「ここのいいところは、みんなが働くことに切羽詰ってないこと」と語る女性社員最年長の小山征子さん(67)は、「以前の会社では土日も関係なく働いてきましたが、ここに来て、お休みの日に自分のためのスケジュールを書き込むのが楽しみになりました」と、『高齢社』の魅力を語る。
なお、定年がない登録社員制のこの会社だが、あえて定年を設定するなら「体力が限界に達した時」がそれにあたるとのこと。上田さんはこれを「自然消滅」というブラックジョークで表現したが、上田さんは73歳にして、持病のパーキンソン病と闘いながら、毎朝4時起きで仕事をしているそうだ。
◆ケトル VOL.04(12月15日発売/太田出版)
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