ウェブだけで学ぶアメリカのオンライン大学 教員による講義は一切なし

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今や教室に足を運ばなくても、世界中の大学の授業を受けられるのが当たり前の時代。YouTubeをはじめとする動画サイトでは講義が公開されており、大学自体がネット配信コンテンツを持っていることも少なくない。iTunesには「iTunes U」という教育コンテンツ無料配信サービスがあり、世界26か国、1000以上の学校や団体の50万以上のコンテンツを配信している。

ノーベル賞受賞者を多数輩出しているマサチューセッツ工科大学(MIT)の超人気教授の講義も、ウェブで受けられるということをご存知だろうか? 実はMITは、世界の大学に先駆けてほぼすべての授業をネットで無料公開している。大学の講義をインターネット上で公開するオープンコースウェア(OCW)プロジェクトに世界で最初に取り組んだMITは、2002年から5年かけてウェブにアップし、世界中の人が無償で講義を受けられるようになった。

MITから始まったOCWは今や日本にまで浸透し、東京大学をはじめとする日本の各大学でも行われるようになっている。アメリカには純粋にウェブだけで学ぶオンライン大学まで存在し、ウェスタン・ガバナーズ・ユニバーシティ(WGU)は、何と教員による講義がない! 学生はどんな教材を使って勉強してもよく、WGUが提供しているオンライン教材や他大学のOCWを利用し、学士号を取ることができる。

公開されている日本語の人気コンテンツを見てみると、1番人気は『マイケル・サンデル「ハーバード白熱教室in JAPAN」2010』(東京大学)で、そのほか『宇宙の特異点、ビッグバンとブラックホール 公開講座「特異」』という東大の天文学の講座や、京都大学の『山中伸弥教授「人間万事塞翁が馬」』という高校生向けの特別授業、北海道大学の『村上春樹「1Q84」を読む 物語をかきかえる』など、それぞれユニークな講座を提供している。近い将来、「東大の講義を動画で勉強したので大学の数学もマスターしたよ!」というような天才少年少女がいつ現れてもおかしくなさそうだ。

◆ケトルVOL.10(2012年12月15日発売/太田出版)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。