8月10日発売の雑誌『ケトル』は、特集のテーマとして「村上春樹」をピックアップ。村上作品に登場する東京スポット・食べ物・酒、登場人物の名台詞など、村上春樹にまつわるありとあらゆる情報を紹介している。今回取り上げるのは、”作中に登場する音楽”について。村上春樹を語る上で絶対に外せないのが、あらゆるシーンとリンクする音楽の数々だが、もっとも登場回数が多かった1曲は? そして村上が「120回リピートした」という曲とは?
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村上作品に登場した音楽を調べると、ベートーヴェン、モーツァルト、バッハ、シューベルト、ショパンといったクラシックの巨匠から、エルビス・プレスリー、ボブ・ディラン、ローリングストーンズなど洋楽界の大物、さらに井上陽水、キャンディーズ、スガシカオまで、古今東西の音楽家・ミュージシャンたちの名が登場している。
それらの中でも出場回数最多記録を持つ曲は、「アメリカン・ポップスの王様」ことビング・クロスビーの『ホワイト・クリスマス』。『風の歌を聴け』で鼠が「僕」に書いて寄越す小説の原稿用紙の1枚目には必ず「ハッピー・バースデイ、そしてホワイト・クリスマス」と書かれているのを始め、『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『国境の南、太陽の西』と、計4回登場している。
この他、複数回登場しているのは、マイケル・ジャクソンの『ビリー・ジーン』、ビーチ・ボーイズの『峠の我が家』、映画『カサブランカ』の劇中曲・ハーマン・フップフェルドの『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の計4曲。『ノルウェイの森』で「直子が持っている6枚のレコードの内の1枚」として登場する『サージェント・・・』は、村上が120回くらいリピートしながら『ノルウェイの森』を執筆した曲なのだそうだ。
◆ケトル VOL.08(8月10日発売/太田出版)
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