今年は『BACK TO THE FUTURE』(以下『BTTF』)公開から30年。大ヒットを記録した『BTTF』ですが、実は脚本が完成した当初はまったく買い手がつきませんでした。40回以上にもわたって断られ続け、同じ人から2度断られたこともあったほど。脚本を売り込む際の難関となっていたのがマーティ(マイケル・J・フォックス)とロレイン(マーティの母)の近親相姦色でした。
監督のロバート・ゼメキスと脚本のボブ・ゲイルは長らく悩むことに…。しかし「まるで弟とキスしているみたい」というロレインの名台詞を思いついたことで、すべてが上手く回り始めたそうですが、ユニバーサルの社長は製作にあたり脚本に4つ注文をつけました。
1つめは、ドクの当初の役名である“ブラウン教授”は古臭いからやめろ、というもの。2つめはドクのペットをチンパンジーから犬に変更すること。「チンパンジー映画は赤字が出るという調査結果がある」とまで言い出して変更させました。3つめはマーティの母親の名前を、当初のメグからロレインに変更すること。そして4つめは作品タイトルの変更でした。
ユニバーサル社長がタイトル変更を要求した理由は「わかりづらい」から。彼が考えていたのは「冥王星から来た宇宙人」というもので、SFらしさを強調するつもりだったそうです。これに困ったゼメキス監督がプロデューサーのスティーブン・スピルバーグに相談すると、スピルバーグは一計を案じて、社長にこう書いたメモを送りました。「ユーモアあふれる提案をありがとう。笑わせてもらったよ」。プライドの高い社長はこれで黙ってしまったそうです。
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