『徹子の部屋』や『世界ふしぎ発見!』で、元気な姿を見せている黒柳徹子さんは、1933年生まれで今年83歳。昭和期から活躍してきた黒柳さんの天真爛漫な姿には、多くのスターたちも魅了されました。
黒柳さんが「兄ちゃん」と呼び、慕ったのが『寅さん』でお馴染みの俳優・渥美清さん。いくつにもなっても「お嬢さん」と呼ばれ、かわいがられていたのです。その愛されぶりは相当なもので、たとえば2人で出歩けば、「欲しいものはないかい?」と、ポンと綺麗な箱や靴を買ってくれたそうです。
晩年、ガンを患っていた渥美さんは撮影現場で笑うことはなかったそうですが、黒柳さんが撮影の見学に訪れれば打って変わって笑顔を見せ、「渥美さんも笑うんだ」と周囲の人を驚かせたそうです。
『上を向いて歩こう』などの名曲で知られる昭和の大スター・坂本九さんは、黒柳さんと何度となく『夢であいましょう』で共演を重ねた大切なお友達でした。2人は姉弟のように仲が良く、坂本さんと黒柳さんは「九ちゃん」「テツコちゃん」と呼び合う間柄だったそうです。
黒柳さんのことを「テツコちゃん」と下の名前で呼んでいたのは、実は坂本さんだけ。大人になるまで一度も「テツコ」と下の名前で呼ばれたことがない黒柳さんは、「(自分に)こんなにかわいい呼び方があったなんて」と、嬉しかったそうです。
黒柳さんとは20代から親交があったのが、天才漫画家の赤塚不二夫さん。2人の仲良しぶりに一時は「付き合ってるのでは?」との噂が流れたこともあったそうです。あくまでお友達の2人ですが、ただ、赤塚さんが黒柳さんをどう思っていたのかが垣間見られる逸話もあります。
昔、舞台で大阪にいた黒柳さんの楽屋へ、突然赤塚さんが訪問。夜に2人でホテルのバーでお酒を飲んでいると、赤塚さんが「来ちゃった!」と呟いたそうです。黒柳さんはその言葉の意味を深く考えなかったそうですが、後日、その時、実は赤塚さんが黒柳さんに会うためわざわざ大阪へ行ったことを照れながら告白。初めて「来ちゃった!」の言葉の意味を理解したそうです。
『徹子の部屋』第1回ゲストの森繁久彌さんは、黒柳さんにとって演劇界の大先輩。森繁さんと何度も共演した黒柳さんは、「私にセリフの先生がいるとしたら、それは森繁さん」とも語っています。そんな森繁さんが、黒柳さんに会うたびに口にしていたのが「1回どう?」というフレーズ。最初にこの言葉を聞いたとき、黒柳さんは意味がわからず、「なにを?」と不思議がったそうです。
とはいえ、黒柳さんの直球力も相当なもので、親友・向田邦子さんと森繁さんに男女の噂が上がったときは、森繁さんに直接「本当になにもないの?」と質問したこともあったとか。その無邪気さこそが、数々の大御所に愛され続けた理由だったのかもしれません。
◆ケトル VOL.31(2016年6月14日発売)
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