動物園の人気者といえば、真っ先に浮かぶのがゾウ。大きな体を誇るゾウは、実は泳ぎが大の得意です。特にインド、スリランカ、タイなどに生息するアジアゾウは泳ぐのが大好き。野生のアジアゾウは3トン以上の巨体を維持するため、毎日大量のエサを必要としますが、普段の棲み家である森の中だけでは、エサが足りなくなってしまうため、大きな河や海峡の向こう側にあるエサを求めて、泳いで渡るようになったと言われています。
そこで富士サファリパークでは2015年7月から、日本ではあまり知られていない「泳ぐゾウ」の姿を紹介するために、国内で初めて河にみたてた施設を新設。水が温かい夏季限定(現在は終了)ですが、ゾウが水しぶきを上げながら気持ちよさそうに泳ぐ姿を真横から観察することができます。
しかしその姿を見ていると、「あんなに体が大きいのに、どうして泳ぐことができるのだろう?」という疑問が湧いてきます。体重が重いと水の中に沈んでしまい、呼吸するために顔を上げるだけでも一苦労。ゾウには水に浮くための特別な仕組みもありません。そこで重要な役割を果たすのが、あの長い鼻。シュノーケルのように鼻を水の上に伸ばすことで、溺れることなく泳ぐことができるのです。
実は、現在の研究では「ゾウの祖先はもともと水辺で生活していた」と考えられています。2008年に英米の研究チームが、エジプト北部の約3700万年前の地層から見つかったゾウの祖先と考えられる動物の化石を調査したところ、川辺や湿地で草を食べて生活していた可能性が高いことがわかりました。
水辺で生活しているということは、肉食動物に襲われた際に、水中に逃げ込んでいたはず。そのため、水中でも呼吸ができるようにと、もともと頭の上のほうにあった鼻が、現在のように長く伸びていったという説が唱えられているのです。この説については現在でも結論が出ていませんが、それでもゾウにとって鼻が超重要であることに変わりはないでしょう。
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