オリエント工業のラブドール 関係者が「まさか」と呟いた不思議なこと

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驚くほど人間の女性に似た「ラブドール」を製造していることで知られるオリエント工業は、1977年からその製造・販売を行い、以来40年にわたり、業界のパイオニアとしての地位を築いてきました。

1990年代の後半からラブドールの顔の造形を担当しているという同社の造形師さんは以前、『GQ』誌のインタビューで、ドールの顔は「能面」が理想であると語っています。確かにラブドールの顔をよく見ると、いずれも自己主張の強いものではありません。楽しそうでも、寂しそうでもある。曖昧な表情をしているから、私たちは自分の感情を投影できるわけです。まさに能面の論理です。

広報担当の方によれば、こんな不思議なこともあったそうです。

「ラブドールを購入されてから1週間後くらいに、自宅で撮影したドールの写真を持ってショールームに挨拶にいらっしゃった。何枚も見せてもらったあとにその方から、『写真によって違いがあるのがわかりませか?』と尋ねられました。確かに私も、撮影日によって何となく表情が違うような気がするんです。

もしかしてと思い、『……まさか、これとこれが初夜の前後ですか?』と聞いたら、その通りでした。ドールの見た目は変わっていないはずなのに、何も知らない私が写真を見ても、言葉でうまく説明することはできませんが、やっぱりどこか違う気がするんですよ。不思議なことですが、そういうことがあるのです」

オリエント工業のラブドールには人間の女性のような名前が付けられています。志乃、まどか、沙織、りり……。しかしその曖昧な表情の先に何を読み取るのかは、あくまでユーザーに任されています。

今や私たちの未来にレプリカントのような人型ロボット登場する可能性が、現実的に議論される時代になりました。オリエント工業のもとにも、ドールに声を出させてはどうか、動かしてはどうかという要望が何度も寄せられているそうですが……、

「それをやってしまったら、イメージが固定されてしまい、ラブドールの魅力がなくなってしまう。私たちはそう考えています」

とのこと。ラブドールに私たちが強く惹かれる一因は、こういったこだわりにあるのかもしれません。

◆ケトル VOL.36(2017年4月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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