それでも世界が続くなら 篠塚将行が語る「音楽を奏でる意味」

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轟音ギター・ロックバンド「それでも世界が続くなら」が、7月26日にメジャーレーベル復帰第1弾のアルバム『消える世界と十日間』をリリースした。バンドのボーカル&ギターの篠塚将行は、どんな思いを込めて今作を作ったのか? 現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.132で、篠塚はこう語っている。

「いじめを受けてきた人間なので、保守的というか、ことを荒立てないために言いたいことを言えずにここまできた人生なんです。それを少しずつでも変えていきたいという想いはバンドをはじめてからもあって。だから、僕らのアルバムもマイナーチェンジしていってるんですけど、自分自身を突き詰めた今回のアルバムができたことで、やっと言いたいことが言える、そのスタートラインに立てたような気持ちです」

新作は、1日1曲ずつ、全11曲分の楽曲を、制作順に収録したドキュメンタリー作だ。社会への反発が滲む『人間の屑』、生きることに希望を見出す『かけがえ』など、彼の心情が色濃く反映された楽曲が多いが、篠塚はこの作品で何を伝えたかったのか?

「誰かになにかを伝えるって、そんな簡単にできないと思うんです。僕は伝えることよりも、自分を深く掘り下げていくのが表現だと思っていて。だから、タイトルにある“世界”はイコール自分で、出てきた感情を素直に出していったアルバムですね。これまでは誤解されたくないって気持ちもどこかにありましたけど、その考えがなくなるまでの11曲とも言えます」

アルバムは一発録音によってあえて歪みが残されており、これまで以上にノイジーな仕上がりとなっているが、篠塚は、「(音を)汚くするのが目的じゃなくて、人間味が欲しいんです」と、それもしっかりと計算済みのよう。曲を通じて自分の弱さや苦しみをさらけ出す姿が、聞き手の心を揺さぶる理由になっているようだ。

◆『クイック・ジャパン』vol.132(2017年6月23日発売/太田出版)

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『クイック・ジャパン』vol.132

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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