今や誰もが当たり前のように使っている「電気」ですが、これを生み出すのは大変なこと。名作ドラマ『北の国から』シリーズの中でもとりわけ傑作との誉れが高い『’87初恋』では、中学生の黒板純(吉岡秀隆)が、廃材を利用した風力発電機を完成させ、父の五郎(田中邦衛)を驚かせます。
黒板家は消費電力が一般家庭よりはかなり少ないとはいえ、安定して電気を供給できる発電機を中学生が作り上げるなんて、ドラマの中の出来事だからこそ……なんて思いきや、放送から約15年後、遠くアフリカで純と同じことを、もっと大きなスケールで実現した少年が現れました。
それはウィリアム・カムクワンバくん。当時14歳だった彼は、国内の電力普及率がわずか2%というアフリカのマラウイ共和国に暮らしていました。ある日、ウィリアム少年は学校の代わりに通っていた図書館で、風力発電について書いた本と出会います。
これなら自分の村でも電気を作ることができるかもしれない──。周囲から荒唐無稽だと言われながらも、彼は本の図面をもとに独学で勉強。2か月後には自力で発電用風車を完成させ、それから数年間で計5基も作り上げました。今ではラジオを聴いたり、携帯電話を充電したりできるようになったそうです。
彼が材料に使ったのは、捨てられた自動車のバッテリーやプロペラ、自転車のチェーンといった廃材。まさに純と同じ発想で、ウィリアム少年は村に電気という革命をもたらしたのです。ウィリアム少年の物語は世界中を感動させ、アル・ゴア元アメリカ副大統領からも賞賛されました。
◆ケトル VOL.41(2018年2月14日発売)
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