雑誌「ムー」と言えば、約40年にわたってひたむきに世界の不思議と謎を追求してきましたが、大きな謎が「なぜ学習研究社から発売されたのか?」というもの。学年誌や参考書など、教育関係に強い学研から、オカルト色の強い「ムー」のような雑誌がなぜ創刊されたのでしょうか? 6月15日発売の『ケトルVOL.43』は、特集テーマに「ムー」をピックアップ。その謎についてこう記しています。
今の世代の読者にはイメージしづらいかもしれないですが、「ムー」が創刊された1970年代は「オカルト」が非常に身近なものでした。例えば、1973年には日本テレビの「11PM」にユリ・ゲラーが登場しています。
念力でパイプを切断するという驚きの光景はたちまち話題になり、翌年3月に「スプーン曲げ」を初披露すると、日本に超能力ブームを巻き起こしました。さらに、1974年には悪魔にとりつかれた少女を描いたホラー映画『エクソシスト』が大ヒット。人類が月に到達するほど科学技術が発展した一方で、多くの人が科学では説明できない不思議な現象に惹きつけられてもいたのです。
そうした影響は、子どもたちにも及んでいました。当時、学年誌(小学1年生、2年生、3年生……と学年ごとに出版される雑誌)を中心に出版していた学研には、中高生向けの「コース」という雑誌がありました。
基本的には日々の勉強に役立つ情報を掲載する媒体でしたが、学年が上がるにつれて内容の自由度が上がり、スポーツや芸能といった読み物も多かったそうです。つまり、当時の子どもたちの関心事を積極的に取り上げていたわけですが、そこで人気となっていた記事が、「ノストラダムスの大予言」や「ミステリーゾーン」といったオカルト系の内容でした。
ときに読者アンケートで1位をとるほど好評だったことから、「コース」の編集部はオカルト系の記事をまとめた新雑誌を企画します。こうして1979年10 月、隔月刊の雑誌として「ムー」が創刊されたのでした。
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・ケトルVOL.43
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