日本漫画家協会賞大賞と手塚治虫文化賞新生賞をダブル受賞したのぞゑのぶひさが、尾崎翠の代表作『第七官界彷徨(だいななかんかいほうこう)』をコミック化。オールカラーのハードカバー仕様で12月8日に刊行される。
「人間の第七官にひびくような詩」を書きたいと願っている赤いちぢれ毛の娘と、精神科医の長兄、肥料を研究している学生の次兄、音楽受験生の従兄弟の四人が、一つ屋根の下で暮らす生活。苔が恋愛をしたり、部屋にはこやしを調合して煮る臭いが漂ってきたり、名付けようのない感覚の世界――。
のぞゑのぶひさ(1949~)は、京都や大阪で様々な職業を経験し、現在は栃木県那須町で晴耕雨読の生活を送りながら、創作活動に勤しむ漫画家。昭和文学の金字塔とされる大西巨人『神聖喜劇』を漫画として描き下ろし、第36回日本漫画家協会賞大賞、第11回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した。著書に『敗戦悲劇』(太田出版)などがある。
原作の尾崎翠(1896~1971)は、女学校時代に『文章世界』へ投稿を始め、日本女子大学を中退後、文学に専念。『アップルパイの午後』『第七官界彷徨』などを発表したものの、病のため帰郷して創作活動から離れ、1969年に『第七官界彷徨』が再発見された後も執筆を固辞し、1971年に亡くなった。
今回のコミック化について、作家の三浦しおんは
「小説家と漫画家の幸福な出会いが、この一冊に詰まっている」
とコメント。再評価が進む尾崎の代表作が、豪華装丁で蘇る。『第七官界彷徨』(漫画:のぞゑのぶひさ、原作:尾崎翠、発行:太田出版、3700円+税、大判)は2018年12月8日発売。
【関連リンク】
・コミック『第七官界彷徨』 – 太田出版
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