1月にリリースしたメジャーデビューアルバム『Sympa』が、オリコンランキング(1月28日付)で3位という快挙を遂げたKing Gnu。その発起人であり、作詞作曲、ギター、チェロ、プログラミング、ボーカルを担当する常田大希は、どんな音楽的バックグラウンドの持ち主なのか? 2019年2月23日発売の『クイック・ジャパン』vol.142で、常田はこう語っている。
「音楽の原体験は、オルタナとかアークティック・モンキーズの『Brianstorm』に感じるエネルギーとか。ただ、音楽はサウンドにしろ精神性にしろ、いろんなつながりがジャンル関係なく存在して、いろんな音楽を聴くなかで自然と好きになっていったのは大きいですね。アカデミックな人たちの美意識とか価値観も勉強になったし、ジャズミュージシャンはジャズミュージシャンで考え方が全然違う。いろんな人たちに出会って多様な考え方に触れることができました」
東京藝術大学を中退したあと、ソロプロジェクト「Daiki Tsuneta Millennium Parade」で頭角を現し、米津玄師の『BOOTLEG』にも参加した常田。年末年始にはかけて多くの音楽誌や音楽番組で取り上げられ、注目度が非常に高い彼らだが、King Gnuを始めた理由は明確だ。
「King Gnu をはじめたのは、作品をデカくするために金を稼ごうと思ったからです。やっぱり、お金はできることの規模感に直結します。アークティック・モンキーズとか、スタジアムでデカい音鳴らしてるじゃないですか? ああいうサウンドや演出って、あの場所に行かないと鳴らせない。クラシックならオーケストラが好きだし、デカい会場の鳴りが昔から好きなので、急に舵を切ったってわけでもないんです」
そう語る常田が中心となって作られた『Sympa』は、ロック、ヒップホップ、ジャズなど、ジャンルレスなサウンドが話題になっている。常田自身は、King Gnuの音楽をどのような方向に導きたいのか?
「やっぱり日本はマスで見るとJ-POPの存在が大きくて。過去10年のランキングを見ても、曲がほぼ同じなんです。日本で売れようと思ったら、そこは避けて通れないので、ちゃんとJ-POPが好きな人たちが聴いて、すんなり入ってくる曲でありつつ、自分が納得するものを作れば、今までにはなかったようなサウンドになると思う。自分の持ち場を守ったうえで、J-POPや歌謡曲を継承していく、そのラインにちゃんと乗るっていうのは意識してますね」
3月からはバンド初となる全国ツアーもスタートした彼ら。ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ)の主題歌となった『白日』のMVも話題となっており、平成の次の時代の日本の音楽シーンに飛び出すニューヒーロー候補の筆頭は、King Gnuで間違いなさそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.142(2019年2月23日発売/太田出版)
【関連リンク】
・クイック・ジャパンvol.142
【関連記事】
・それでも世界が続くなら 篠塚将行が語る「音楽を奏でる意味」
・新作発売のMIYAVI ビジュアル系バンドを離れ世界を目指した理由
・大量の音楽を持ち運べる「iPod」は音楽の聴き方をどう変えた?
・秋田ひろむ(amazarashi)、tofubeats 影響を受けたゼロ年代CDは?