3月20日(水)、下北沢のB&Bにて「木下斉×市来広一郎×日野昌暢 「凡人だからこそできる、地域再生のリアル」が開催された。
ゲストは『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』の著者・木下斉さんと、『熱海の奇跡 いかにして活気を取り戻したのか』の著者・市来広一郎さん。このW刊行を記念したイベントだ。進行役は群馬県高崎市の「絶メシリスト」を始め、地域の仕事に携わる博報堂ケトルプロデューサー・日野昌暢さんが務めた。
木下さんは高校1年生のときに商店街活性化事業に携わったのをきっかけに、全国で地域再生事業を行っている。「もうからない事業のためにお金が使われ、労力が割かれていることが多い。自分の手で稼ぐべき」と語る。長年の経験から、地元の流行を見てきたストリートエリートを巻き込んだり、地域の重鎮を地域再生の委員として任命して熱気のある場に引き出したりする工夫も。歯に絹を着せない発言から「狂犬」とも呼ばれるほどの木下さんでも言いづらいことを、フィクションとしてまとめたのが『地元がヤバイ…』である。
市来さんは2007年に地元の熱海へUターンして地域づくりに取り組み、熱海の人気V字回復の立役者となった。当初は街のメインストリートである熱海銀座商店街でさえシャッターを下ろした店舗が3分の1を占めていたが、そこでカフェとマルシェを開業。商店街から反発もあったが、「1年後には応援に変わり、3年後には自ら参加する人が増えた。続けることが地域再生につながっていく」と語る。それを現実にした過程をまとめたのが『熱海の奇跡』だ。
日野さんは群馬県高崎市のシティプロモーションを担当し、街にあるものを編集しておもしろく見せることで注目度を上昇させている。姿を消す個人店の希少さを魅力に変える新ローカルグルメサイト「絶メシリスト」が話題に。「高崎市はレンタカーの売り上げが高い。きっと東京から来たサラリーマンが飲食店を探しているはず」とマーケティングでも勝算があったという。
最後に場内から質問を募ったところ、経験に基づくユニークな回答が飛び出した。活性化のキーマンを探すなら、「地元のイケている人が集まる飲み屋に行く」(木下さん)、「ネガティブなことを発信しているとおもしろい人が来る」(市来さん)。地元で事業を始めるきっかけづくりでは、「最初は事業の話をしない。その場に合わせてしゃべって『きみ、おもしろいね』と言われるかどうかでその後が決まる」(木下さん)。都市部の会社員が地域と接点を持ち始める一歩は「近い大都市で仕事を持ちながら街に関わるのもあり。週末だけの副業もいい」(市来さん)。ローカルに興味を持ったら、まず一歩踏み出してみてはいかがだろうか。
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