年に4回も不健全図書指定 80年代の過激雑誌『ビリー』の中身

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8月いっぱいで大手コンビニエンスストアが成人雑誌の取り扱いを止めることになり、いよいよ“エロ本絶滅”のカウンドダウンが近づいている。そこで、風前の灯となったエロ本への感謝と惜別の意を込めて、アダルトメディア研究家の安田理央氏が上梓したのが、7月2日に発売された『日本エロ本全史』だ。

同書は1946年から2018年まで、日本のアダルト誌の歴史を創刊号でたどったもの。日本最大級のアダルト誌コレクターの安田氏が、アダルト誌創刊号コレクションから、エポックメイキングな雑誌100冊をピックアップし、オールカラーで紹介している。風前の灯となったエロ本への感謝と惜別の意を込めて、同書から1981年創刊の『ビリー』(白夜書房)を紹介しよう。

同誌が創刊された80年代初頭は、『アクション・カメラ術』(KKベストセラーズ)がパンチラを取り上げたり、篠山紀信が『GORO』(小学館)の「激写」で素人ヌードを連発したり、二見書房から発売された『隣りのお姉さん100人』がヒットしたりと、エロが“プロ”から“素人”に解放された時代。まさにエロ本黄金期を迎えた時代にあって、『ビリー』はとりわけ過激な雑誌だった。

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ロリコン雑誌の『ヘイ!バディー』と並んで80年代の白夜書房を代表する過激雑誌と言われた『ビリー』。死体、奇形、同性愛、スカトロ、獣姦、そしてありとあらゆる変態を取り上げた伝説の雑誌だが、創刊時はインタビュー中心の極めて真面目なカルチャー誌だった。

巻頭と巻末にヌードグラビア(篠塚ひろ美と小川恵子が出ているのはポイント高い)はあるものの、一色ページは16歳の三原順子のインタビューから幕を開ける。当時の彼氏(宮脇康之)の話はもちろん、それ以前につきあっていた男のことまでも包み隠さず話す等身大の少女・三原順子がたまらなく魅力的だ。

誌名にひっかけた「ビリー派宣言」では、川本三郎がビリー・ザ・キッドについて、桑田佳祐(!)がビリー・ホリデイについて、今井智子がビリー・ジョエルについて語る。さらに近田春夫&相倉久人の音楽対談、ウーマンリブ、ガンダム、プロレス、(英バンドの)ジャパン、鈴木邦男、沖縄……。今、読むと非常に興味深い誌面だが、白夜書房の返本率記録を作るほど売れなかったらしく路線変更を余儀なくされる。

1982年3月号からは「スーパー変態マガジン」を標榜し過激な誌面を展開。熱い支持を受けるも、一年に四回も不健全図書に指定されてしまい、1984年12月号より『ビリーボーイ』として再出発。若干のパワーダウンはあったものの、やはり不健全図書に指定され、わずか号で休刊となった。

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全盛期(?)の『ビリー』の誌面には、内臓、人殺し、ホモといった言葉が並び、1983年5月号では切腹マニアへのインタビューや切腹再現グラビアも実現。死体写真も『ビリー』の目玉だった。不謹慎と言ってしまえばそれまでだが、当時はそういったものを許容する懐の広さがあったことも、1つの事実として刻まれるべきだろう。

『日本エロ本全史』(安田理央・著/太田出版)は2019年7月2日発売。3700円+税。

【関連リンク】
日本エロ本全史-太田出版

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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