問答無用の代表作、超大作、背筋が凍るホラー作… S・キング名作4選

カルチャー
スポンサーリンク

現在、新型コロナウイルス問題に基づき、不要不急の外出が憚られる状況になっています。こんな時こそ、じっくり楽しみたいのが読書。映像業界では最近、スティーヴン・キングが大ブームで、昨年から今年にかけて『IT』チャプター2、『ドクター・スリープ』、『イン・ザ・トール・グラス』、『ペット・セメタリー』が映像化されましたが、映像化作品を通じてキングの魅力にハマったら、ぜひとも読んで頂きたいのが原作です。選りすぐりの4作を紹介しましょう。

●問答無用の代表作 『シャイニング』
「映画版と原作で結末が異なるから物語を2度楽しめる!」

キングが書く作品は、とにかく長いものが多いのが特徴。上下巻に分かれているのはざらで、ときには3冊や4冊、もしくはそれ以上になることも。そうした文章量の多さを理由に読むことを敬遠している人には、すでに映画化されている作品を推薦します。

映画を観ておけば物語の筋がある程度わかるし、原作との違いも楽しめるからです。中でも『シャイニング』は、キューブリックの映画版をキングがことあるごとに酷評していることで有名なので、なぜそこまで言われているのかを原作を読んで確かめてみるといいでしょう。そして本作を満喫できたら、40年後を描いた続編『ドクター・スリープ』も併せて読んでみてください。キング沼にハマること間違いなしです。

●じっくり読みたい超大作 『11/22/63』
「ケネディ暗殺&タイムトラベルという王道のテーマで書き上げた超大作」

キング作品を読むことに慣れたら挑戦したいのが超大作です。中でもおすすめしたいのが『11/22/63』。このタイトルは1963年11月22日、つまり第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが暗殺された日付を意味しています。本作でキングは、ケネディ暗殺をテーマに、タイムトラベルものを書き上げました。

新人作家が書いたなら全く話題にならなそうなベタベタな作品ですが、キングが書いたとなれば話は別。アメリカではベストセラーとなり、数々の文学賞を受賞しました。ちなみに本作、息子でもある作家のジョー・ヒルの助言で結末が書き直されたそう。初期バージョンの結末はキングの公式サイトで読めるので、読み比べもぜひ!

●背筋が寒くなるホラー作 『クージョ』
「“大型犬に襲われる”という日常に潜む恐怖を描いたホラー」

代表作・超大作ときたら、次に読みたいのはホラー作でしょう。キングは身近にある恐怖を巧みな描写で言葉にしていきます。中でも『クージョ』は、狂犬病に冒されたセント・バーナード犬に襲われた母子が、炎天下の車中に閉じ込められて肉体的にも精神的にも追い詰められていきます。それにしても、犬に襲われるだけの物語を分厚い一冊にまとめ上げるのがキングのすごいところ。そして、派手さはありませんが、地味に怖い。作家としての力量の高さが垣間見られます。

ちなみに、本作はキング作品の中でも特に後味の悪い結末を迎えます。胸クソ悪さからしばらくは不快な気持ちが続くかもしれません。そういう意味では読むのに覚悟が必要な作品です。

●巧さが光るエンタメ作 『レギュレイターズ』
「リチャード・バックマン名義で発表された遊び心あふれるミステリー」

多作で知られているキング。書くジャンルもホラー、ミステリー、SF、アドベンチャーと幅広く、しかもそれぞれで世界的な文学賞を受賞してしまうから驚かされます。そして自著だけでは飽き足らなかったのか、一時期リチャード・バックマンという別名義でいくつかの作品を発表していました。その中の一冊が『レギュレイターズ』です。

本作は、キング名義で書かれた『デスペレーション』と世界観を共有しており、パラレルワールドのような感覚で読めるギミックがあります。ちなみにバックマンは1985年に他界しており、どこかで未発表作が発見されないかぎり新作を読むことができません。なんていう設定すら楽しんでしまうのがキングなのです。

◆ケトルVOL.52(2020年2月16日発売)

【関連リンク】
ケトル VOL.52-太田出版

【関連記事】
スティーヴン・キングとジョージ・ロメロ 「帝王」と「巨匠」の共通点
「ホラーの帝王」スティーヴン・キングを作り上げた4人の作家たち
スティーヴン・キング 怖がりだから見つけられる日常生活の恐怖
スティーヴン・キング 子供ならではの想像力を言葉に換えて恐怖を演出

※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

関連商品
ケトル VOL.52
太田出版