編集者のための“著作権の歩き方” 『新版 編集者の著作権基礎知識』刊行

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仕事を始めたばかりの編集者が、つまづきがちな「著作権」。

肖像権、引用作法、美術や音楽の著作物性、著作物使用料、アイディア、新聞、広告の利用、保護期間、二次利用、送信可能化権、著作物利用契約、出版権設定契約……。書籍や雑誌の編集者は、多種多様な著作物を正しく取り扱う必要がある。

そんな現場の編集者が、最低限知っておくべき著作権の要所をまとめ、実務と実例に照らし合わせながら説く『編集者の著作権基礎知識』が、このたび『新板』としてリニューアル。現在に合わせた内容に改訂、最新事例などを増補し、2022年4月15日(金)より発売される。

1993年に出版されロングセラーとなった同作は、日本ユニ著作権センター代表理事・豊田きいちが執筆。豊田氏の逝去に伴い、著作権継承者の理解と了承を得て、『新板』は宮辺尚との共著として刊行となった。主に改訂・増補となった点は下記の通り。(※詳しい目次は当記事最後部に掲載)

  • デジタル化・ネットワーク化が進む中で、オンラインで著作物を扱うことが著作権法上でどういう意味を持つのかを示すため、著作権という権利の中身を解説する第3章を新たに書き加えた
  • 出版契約を論じる第4章を全面的に書きおろし
  • 旧版刊行後に延長された著作権保護期間に関する部分について、第19章を中心に適宜加筆修正削除
  • 法改正による条項の変更、条文の変更に関しての修正

なお、『新板』の編集担当者は、本書がまさに新人編集者として初めて手掛けた書籍。具体的な仕事の場面を想定して解説されていた点など、本書についてコメントを寄せた。

本書は、2022年9月に業界未経験で入社したわたしにとって、初めての担当書籍です。

わたしは法科大学院の出身で、知的財産法ゼミに所属していたため、一通りの著作権の知識は持っているつもりでした。とはいえ、多くの著作権入門書は、「著作権」について一通り解説はしてくれているものの、必ずしも「編集者」が読むことを想定しているものではありません。いきなり「編集者」として現場で働くにあたっては、非常に大きな不安がありました。

しかし、本書では、引用ってどこまでやったらいいの?(適法な引用なら著者への許諾はいらないらしい!) 写真の「買い切り」って何? 出版契約書ってどんな中身になっているの? 紙の出版とオンライン出版の違い(あるいは違わなさ)って? など、「編集者」の具体的な仕事の場面を想定して解説してくれています。「うわぁ、ありそう……! 気をつけよう!」と思えるトラブルの事例も豊富に掲載されており、臨場感もたっぷりです。

編集者、そして作家さんやライターさん含め、出版に関わるすべての人へ自信を持ってオススメします。

『新板 編集者の著作権基礎知識』は2022年4月15日(金)より発売。A5版、256ページ、2,640円(本体2,400円+税)。なお、好評シリーズ“ユニ知的所有権ブックス”は、広告や動画・写真、商標の取り扱いなど、実務に沿った内容毎で1冊にまとめられ、太田出版より不定期に刊行されている。

『新板 編集者の著作権基礎知識』目次

はしがき
1. 著作権とは何か 著作物の定義
2. 著作権という「財産権」
3. 権利の中身 オンラインの権利は?
4. 著作物の出版契約
5. 著作物等の使用料
6. 著作者と著作権者 著作者人格権と著作(財産)権
7. 著作者人格権 著作者の志の尊重
8. 著作権の及ぶ範囲(1)表現物の著作物性
9. 著作権の及ぶ範囲(2)アイディアには著作権なし
10. 著作権の及ぶ範囲(3)非著作物
11. 類似題名で争った放送と出版 タイトルの著作物性
12. 雑誌の目次は著作物か
13. 懸賞・応募作品の著作権 コンクールの募集規定を疑う
14. 美術の著作物
15. 地図の著作物
16. 写真の著作物
17. 写真の再掲載(二次使用)
18. 音楽の著作物 著作権の集中的権利処理(JASRACの場合)
19. 保護期間・権利の制限、自由に使用できる著作物
20. 「自由使用」の及ぶ範囲
21. 公正な「引用」について
22. 文章作法としての「引用」
23. 無断使用の事例 承前・ゆらぐ引用作法
24. 写真の利用・絵画の利用 全体使用と部分利用
25. 肖像権とは何か
26. 有名人の肖像権
27. 肖像権侵害 二つの事例
28. 新聞記事および広告面の利用
29. 著作者不明の著作物の利用
30. 二次的著作物
31. 共同著作物
32. 座談会の著作権
33. 編集著作物
34. 職務著作
35. ブックデザインは著作物か
36. ©表示の意味 三要件
あとがき
索引

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