美しい赤レンガや印象的なドーム型天井に彩られた東京駅。地方と東京を繋ぐ玄関口であり、観光地としても魅力にあふれていますよね。そんな東京駅の歴史を知っていますか?
4月27日に発売された『大人になっても困らない 日本―東京 50の意外な地理・歴史』(吹浦忠正・著)では、「日本の最東端はどこ?」「日本で唯一、砂漠があるのはどこ?」など、答えられそうで答えられない日本と東京の知識を50問のクイズ形式で紹介しています。
ここでは、本書の中から特別にその一部をご紹介します。(全6回)
Q.2012年に復元工事が完了した赤レンガの東京駅。その丸の内側駅舎の開業年に起きた、歴史的事件とは?
①日清戦争
②日露戦争
③第一次世界大戦
1914年に第一次世界大戦が勃発し、ドイツ帝国の東アジアの拠点であった青島を、日英連合軍が攻略した。この「青島の戦い」を指揮した神尾光臣中将が、大正天皇への報告のため皇居に参内するタイミングに合わせて開業式が行われた。
1904年に始まった日露戦争は、翌年9月に日本の勝利で終戦。これにより国威発揚の機運が盛り上がり、辰野金吾により平屋(一部が2階建て)で設計されていた東京駅は、総3階建てに変更された。
しかし第2次大戦で3階部分は炎上し、消失する。戦後は2階建てで再建され、ドーム状だった屋根は八角屋根となった。
丸の内口の再開発構想が固まった1980年代後半には、赤レンガ駅舎が壊され高層ビルに改築されるのではという懸念が広がり、これに反対する署名運動などが起こった。丸の内駅舎の復元が決まったのは1999年だった。
復元工事により、戦後の約60年にわたって親しまれてきた旧駅舎は姿を消したが、細部にはいろいろとその名残りが見られる。たとえば丸の内北口、南口にある2つのドーム部分に入ると、床に4種類の大理石で美しい幾何学模様が描かれているが、これはただの模様ではない。実は旧駅舎のジェラルミン製パンテオン風ドーム天井を、床に転写したものになっている。天井のデザインが、今は足元に再現されているのだ。鮮やかに蘇った赤レンガ駅舎には、さまざまな歴史が刻まれている。
A.… ③
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本書『大人になっても困らない 日本―東京 50の意外な地理・歴史』では、他にも、社会で意外と役に立つ、日本と東京の「なるほど!」な知識を50問のクイズ形式で紹介しています。
吹浦忠正・著『大人になっても困らない 日本―東京 50の意外な地理・歴史』(太田出版刊)は全国の書店・各通販サイトで発売中です。また、電子書籍版も各配信サイトにて配信中。新生活や行楽シーズンのおともに、日本と東京をもっと知りたいという人におススメの一冊となっています。
筆者について
ふきうら・ただまさ 1941年秋田市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了後、大森実国際問題研究所主任研究員、その後、国際赤十字海外駐在代表として、東パキスタン(現バングラデシュ)やベトナムに駐在。歴代首相のご意見番と言われた末次一郎に師事。難民を助ける会副会長(現・特別顧問)、埼玉県立大学教授(政治学)、東京都生涯学習審議会委員などを経て、現在、社会福祉法人さぽうと21会長、NPO法人ユーラシア21研究所理事長、NPO法人国旗・国歌研究協会共同代表、内閣府オリ・パラ・ホストタウン国旗講座講師、法務省難民審査参与員、パシフィック・フィルハーモニア東京理事など。1964年のオリンピック東京大会組織委員会をはじめ、札幌、長野、東京2020の各オリンピックでは、国旗や儀典に関わる。2018年度からの「道徳」教科書(日文教)で「東京オリンピック 国旗にこめられた思い」の主人公として登場中。214週にわたり週刊新潮で「オリンピック・トリビア」を連載。著作は70冊以上、テレビ出演多数。