「どんなことも、ふざけてやったら終わりやから」おいでやす小田が語る“おだみょん”としての歌唱

試し読み
スポンサーリンク

昨年、『ラヴィット!』(TBS)内で、“おだみょん”としてあいみょんの「裸の心」を歌唱したおいでやす小田。“うまい”といえる歌ではなかったかもしれないが、気持ちの込められた歌声と真剣な眼差しで多くの視聴者の心を震わせた。

『ラヴィット!ロック2023』でも歌唱が決まったが、最初は不安が大きかったという。それでも真剣に歌と向き合う小田の信念とは。

※こちらのインタビューの一部は、8月29日(火)発売の『Quick Japan Special「ラヴィット!」』にも掲載されています。

「裸の心」は芸人の応援ソングにもなる

──『ラヴィット!ロック』に「おだみょん」として出演されるということで、今日は音楽活動についていろいろと伺えればと思います。まず、おだみょんさんは……。

おだみょん ちょっと待って(苦笑)。今日、そんな感じでやるんですか? 根本ですけど、「おだみょん」なんて僕自身は名乗っていないんですよ。持ち上げられて、歌わされて、イジられて。なので、恥ずかしかったんですよ。

──では、あくまでおいでやす小田さんとしてお話を伺います(笑)。でも、おだみょんの反響はかなりあったんじゃないでしょうか。

おいでやす小田(以下、小田) 正直、反響はありましたけどね。でも、「よっしゃ!」という感じではないんですよ。「えらいことになってるなぁ」という感じです。

──『ラヴィット!』で歌われていた、あいみょんさんの「裸の心」という曲には、思い入れがあるんですよね?

小田 それはもう、僕らが「おいでやすこが」として『M-1グランプリ』に出て、決勝に出場するまでの期間にずっと聴いていた曲ですから。当時、カラオケでネタ合わせをするときは、時間が余れば歌っていました。ほかの芸人も言っていますけど、あの曲の歌詞をお笑いに置き換えると、芸人の応援ソングになるんです。歌詞がぶっ刺さり過ぎる。ピン芸人としてやってきた人が漫才に魅了されて……そんな自分と、「裸の心」の歌詞はぴったりとリンクして。それで、どハマりして聴いていたんです。あいみょんさんのほかの曲も好きですけど、あの年、『M-1』の決勝に行けたことで、「裸の心」は特に意味を持ってしまったんですよね。忘れられない曲なんです。

ひとりで歌うのは正直、めっちゃ不安

──おだみょんとして、国立代々木競技場 第一体育館で歌うということに対しては、現時点でどのような思いがありますか?

小田 めっちゃ不安ですよ、そんなの。呼んでもらえるのはうれしいし、みんなで歌ったり踊ったりするぶんにはいいんですけど、ひとりで歌うことに関しては、最後までごねました。

──ひとりでの歌唱はやはり緊張するんですね。

小田 そうですね、恥ずかしいです。慣れていないので、変な緊張をするんですよ。歌って、独特の緊張感があるんですよね。お笑いやお芝居とも違う種類の緊張。不安ですよ、やっぱり。自信がないので。最初に『ラヴィット!』で歌ったときは、こんなことになるなんて思ってなかったです。1回きりで終わるはずやったのに……。

──そうはいっても、SNS上などでは、おだみょんさんの歌声に大きな反響が寄せられています。

小田 それは……はい、見てますよ。「朝から号泣しました」とか……。「日本、大丈夫か?」ってむしろ心配になりましたよ。「みんな、がんばり過ぎちゃうか?」って。

ボイストレーニングで教わった、人に伝える歌い方

──おだみょんさんの歌声には人の心を動かすものがあると思います。最初に歌ったときに心がけたことなどはありますか?

小田 正直、必死過ぎて覚えていないんですよね。なんとかミスがないように、一つひとつを丁寧に、それしか意識していなかったので、ほかのことは覚えていないです。ただ、1回目のあとにボイストレーニングの先生にお世話になって、歌での感情の出し方や抑揚のつけ方を教わりました。声を張ったからといって、気持ちが伝わるものではない、ということを教えてもらって。参考になりましたね。2回目からは、その先生に教えてもらったとおりに歌うことを心がけています。

──ボイストレーニングに通われたのは、歌の上達を目的として、ですか?

小田 そうです、歌のために。本当に細かく教えてもらいました。「この歌詞の部分は、ここを強く」とか、「この部分は、こういう感情で」とか、歌い方と感情をどういうふうに合わせるのかを教わりました。3週間くらいでギュッと教わったので、全部は掴み切れていないとは思いますけど、なんとか、かたちになるようには仕上げていただいて。やっぱり、プロに教えてもらうと全然違いますね。僕、もともとがクソヘタなんです。リズム感もなく、抑揚もなく、バーッと歌ったら盛り上がるもんだと思ってた。カラオケでストレス発散のために歌うくらいなら、それでいいと思ってたんです。誰かに向けて歌うことなんてなかったので。でも、ボイストレーニングに行って、人前で歌うこと、人に伝えることを根本から教えてもらいました。

──歌うとき、“人に伝える”ということは意識されますか。

小田 そうですね、「自分の感情を恥ずかしがらずに解放してください」というようなことを先生から言われたんです。「本人が迷っていたら伝わらないですよ」って。

──ボイストレーニングで学ばれたことが、ほかの場面で生きたこともありますか?

小田 逆じゃないですかね。ほかでやっていることが歌に生きる、という感じで教えてもらいました。芸人としてひとりコントをしたり、お芝居の仕事で演技をしたり、そういう経験が歌に生きる。「歌も芝居」ということは教えてもらいましたね。歌を演じる、というニュアンスですね。

ふざけてやったら終わり

──「嫌だ、不安だ」とはおっしゃっていますけど、歌への向き合い方は非常に真摯でまっすぐなものを感じます。

小田 僕、わかっているんですよ。こんなん、照れたら終わりですから。恥ずかしさを出してしまったら、もう見てられへんと思う。恥ずかしさのスイッチは切るというか、酔うというか、照れながら歌うことだけはやめようと思っています。ひとりで歌うのは嫌ですし、不安ですけど、照れながら歌ってしまったら、さすがに失礼やし。恥ずかしがることだけはやめようと思っています。

──曲を大切にされているところは、これまで歌われている姿を観ても、強く伝わってきます。

小田 「めっちゃまじめですね」とは、ボイストレーニングの先生にも、スタッフさんにも言われました。

──「照れてはいけない」というのは、これまでの経験から得た感覚ですか?

小田 本能的に「それはダメやな」と思うんですよね。ふざけたり、へらへらしながらやるのは、あまりにも失礼過ぎる。それは歌だけでなく、どんなエンタテインメントでもそうですけどね。適当にふざけてやったら終わりやなと思います。

──お笑いとは、どこかで「ふざけてナンボ」みたいなイメージもありますが。

小田 まわりが笑いものにするんやったら、そうしたらいいと思うんですよ。僕がマジで歌っているのをまわりがイジるのは、いいと思うんです。でも、僕が真剣にやらないのは違う。笑いにするにしろ、僕がそれをやり出すのは、間違っているなと思います。『ラヴィット!ロック』も、本番がどういう感じになるかわからないですけど、僕はただ単にまじめにやるだけなので。そのあとイジられ倒して笑いになるのかもしれないけど、それはそれで、僕の知ったこっちゃない。

──『ラヴィット!ロック』のステージは、どのようなものになることが理想ですか?

小田 「頼むから盛り上がってくれ!」と思いますけどね。歌う前から、観に来た人は「こいつマジや」ってなると思うんですよ。自分で『ラヴィット!』を見返しても思ったんです。歌う前から緊張しているんで、必死の顔をしていて。だけど、僕の出番で『ラヴィット!ロック』の熱を下げたくはないなと思います。僕のところで変に冷めたりしないように、真剣に歌い切るだけです。

おいでやす小田
(おいでやす・おだ)1978年7月25日生まれ。京都府出身。ピン芸人として『R-1ぐらんぷり』では、2016年から2020年まで5年連続ファイナリストに。『M-1グランプリ』では2020年に、こがけんと即席ユニット「おいでやすこが」として出場し、決勝進出。連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)や『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(TBS)などドラマにもたびたび出演している。

おだみょん
2022年11月23日放送回のオープニングトークで、アンタッチャブルの柴田英嗣の結婚を祝うために、あいみょんの「裸の心」を披露。翌週の放送に登場した際、おいでやす小田とあいみょんをかけて、おだみょんと紹介された。

『Quick Japan Special「ラヴィット!」』予約受付中

<QJWeb SHOP限定版>
番組特製オリジナルステッカー(ランダムで1冊につき2種)付き
8月29日(火)発売 
ISBN:9784778318871
定価:1,540円(税込)

【数量限定】番組特製オリジナルステッカー付き「Quick Japan Special 『ラヴィット!』」
TBS系列の大人気テレビ番組『ラヴィット!』をまるごと1冊大特集! 「#毎朝が青春」をキーワードに、ゴールデン特番や音楽フェス開催など異例の大躍進を続ける番組の魅力に迫ります。MCの川島明・田村真子(TBSアナウンサー)のSPインタビュー&グラビアのほか、各曜日レギュラーのインタビュー、出演者のスマホ撮影アルバム、『ラ...
関連商品