ミスターSASUKE・山田勝己が語る26年の死闘の日々「オレには『SASUKE』しかないから」

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1997年からTBS系列で放送され、今年で41回大会を迎える『SASUKE』初の公式ブックとなる、その名も『SASUKE公式BOOK』が2023年12月14日(木)に発売されました。OHTABOOKSTANDでは、本日18時からの本放送に向けて、本書の一部を全2回に分けて特別に公開!

最終回となる第2回目は、山田勝己さんのインタビューの一部を抜粋してお届けします。
傷ついても倒れても前に進み続ける「浪速のブラックタイガー」。人生を『SASUKE』に捧げる「ミスターSASUKE」こと山田勝己が語る、26年の死闘の日々――。

(C)TBS

山田勝己 
1965年10月22日生まれ。兵庫県出身。鉄工所社長。「ミスターSASUKE」の愛称で知られる。第1回大会から参加し、第3回大会、第6回大会、第10回大会で最優秀成績を記録する。現在は山田軍団・黒虎を率いて参戦中。

第3回大会のファイナル進出で『SASUKE』に取り憑かれた

――今年は現役高校生が『SASUKE』挑戦権をかけて競う「SASUKE甲子園」が開催されました。山田さんも会場でご覧になっていましたが、高校生たちの頑張りはどうでしたか?

山田 『SASUKE』が始まって26年ですか。うちのチーム(山田軍団・黒虎)にも中学生がいますけど、どんどん時代が変わっていくんだなと。いまは小学生にも『SASUKE』が浸透してる。どんどん新しい時代になっている感じがしますね。

――山田さんが高校生の頃は、どんな学生でしたか?

山田 高校生の頃は野球をやってましたね。親父の弟さんが筋トレが好きで、バーベルとか鉄アレイとか持ってたんで、小学4年の頃から筋トレはしていたんです。小さい頃から運動神経は良かったんで、高校では野球に打ち込んでました。高校を卒業して野球をやめたんですが、22歳ぐらいになって今度はソフトボールを始めまして。全国大会を目指すようなハイレベルのチームだったんで、そこからまたトレーニングを始めたんです。

――テレビ番組『筋肉番付』のいちコーナー「クイックマッスル全日本選手権」に出会ったのはその頃ですか?

山田 そうなんです。その頃、練習中に大怪我をして1年くらいソフトボールができなかった時期があったんです。腹筋と腕立て伏せしかできなかったんですが、そのときにテレビを見たら、腕立て伏せをやっていて。これなら自分でもできそうだなと。これまでチーム競技ばかりをやってきたんで、個人の力で1位になってみたいと思ったんですよね。それで応募したんです。

――「クイックマッスル全日本選手権」で準優勝したことが『SASUKE』への参加につながったんですね。

山田 『筋肉番付』でテレビに何回か出て、それで一度満足した気持ちがあったんですよ。そうしたら今度はアスレチック競走みたいな競技をやるとテレビ局のスタッフさんから連絡があったんですよね。内容はよくわからなかったけれど、断る理由もなかったんで第1回大会に出場することにしました。

軽い気持ちで出場したら、第2回大会も出てほしいと連絡をいただいて。緑山スタジオで行われた第2回大会に出たんです。そうしたらスパイダーウォークで落ちたんですよね。『SASUKE』は特殊やな、と思ってね。これは悔しいぞと。いままでスポーツをやってきて、できなかったことがほとんどなかったんで。これは専門の練習をやらんといかんぞと思って、『SASUKE』用の練習をするようになったんです。自宅の庭にスパイダーウォークと同じセットを作ってね。そこから……始まったというんですかね。

――そこから、山田さんと『SASUKE』の長い闘いが始まった。そのスパイダーウォークはどうやって作ったんですか?

山田 図面も何もないんで。テレビで見て、足を開く角度とか、肩幅から計算して、探りながら作ったんですよ。完璧なセットじゃなかったですね。

――その成果もあって第3回大会ではFINALステージへ。15メートル綱登り、あと30センチまで登りました。

山田 そうですね。あの大会は自分をかなり追い込んで臨んだ大会だったんですよ。ノイローゼになるくらい減量をしたんで。大会前に13~14キロくらい落としました。ボクサーか、と思うくらい(笑)。FINALステージに行くことができたけど、もしあそこでFINALに行けなかったら、全然違う人生になっていたと思いますよ。ひとつの節目でしたね。もうあの大会の後より頭の中から『SASUKE』が離れなくなっちゃったんですよ。

数度の引退撤回、俺には『SASUKE』しかない

――あるときは練習に打ち込みすぎて、お仕事をリストラされたとか……。

山田 仕事の合間にいろんな施設に行って筋トレしたり、走り込んだり、ロープを登ったりしていたんですよ。それを会社が知ることになりまして。会社から「辞めろ」と言われたんですよ。それでもまあ、隙を見つけてトレーニングに行くじゃないですか。そうしたら、また呼ばれて。「山田くんは会社の方針に従わない」と言われて。じゃあ、それならばってことで。その頃は(妻の実家が持っている)鉄工所で働こうかなって思っていた時期だったんで。その後も、変わらずトレーニングに打ち込みました。

――第6回大会、第7回大会の頃はオーバーワークで倒れられたとか。

山田 ですね。もうその頃は常に怪我をしていたんです。その頃の『SASUKE』は常にどこか故障を抱えたまま出場していました。肉離れなんてずっとしてたし、膝も痛めた、腰も痛めた……やってはいけないトレーニングをしていたんですよね。

――ど、どんなトレーニングだったのでしょう?

山田 坂道を走るときに何十キロの荷物を背負ったり、懸垂も1日700回やってみたり、50キロの重りをつけてやってみたり。仕事を遅くまでやったからトレーニングできない、というのはイヤだったから、帰ってきてから夜中2時くらいまでトレーニングしてましたね。ほかの選手の練習量よりも練習しないと、ほかの選手には勝てないじゃないですか。限界を超えていたかもしれませんね。

――それでオーバーワークに。

山田 ずっと調子が悪くて、紹介状をもらって病院に行ったんですけど、病名がないと診断されたんです。まあ、わかりやすく言うと臓器の機能障害ってことでした。滅多にない症例で、治すには自分の生活を改善するしかないと。それで仕事もトレーニングもやめるっていう。半年くらいしたら大分良くなってきたんで、病院の先生に「SASUKEに出たいです」と言ったんですけど、先生は「やめろ」っていう。家族も「やめろ」っていう。じゃあ、最後にするから1回だけやらせてくれって。それが第8回ですよ。

(C)TBS

――それが山田さんの最初の引退。でも、第9回大会には復帰されています。

山田 最初は1st、2nd、3rdとクリアできていたんですけど、第8回大会のときは2ndステージから先に行けなくなっていて。やっぱり「もうやめたほうがいいんちゃう」って声が多くなってきたんですよ。子どもも小学生になってきて、お父さんがテレビに出て、ずっと落ちてるっていうのもイヤな思いだろうなって。家族に負担かけてるなと感じていたんです。

――それでも、結局やめられなかった。

山田 やめられないんすよね。これで最後だと思って『SASUKE』の本番を終えて、しばらくトレーニングを休んでいたんです。でも、翌年の春くらいになると大丈夫かなと思って。医者も大丈夫だと言ってくれたんで、次の『SASUKE』のトレーニングを始めましたね。

――引退撤回。第10回大会には山田さんの名言「俺にはSASUKEしかないんですよ」が出ます。その後も第16回大会で再び引退を口にして再び撤回と。かなり揺れながら『SASUKE』に打ち込んでいらっしゃる。

山田 いや、テレビでは流せないことばかりですけどね。テレビ局の方にも「もうクリアせえへんのだったら、引退な」って言われたこともありました。でも、『SASUKE』の本番が終わるとすぐにまたもう一回やりたいなって思うんです。それで局の人に掛け合って。でもね、そうやって続けていくうちに一番上の子どもが中学生になって陸上部に入ったんです。そこで子どもがなかなか勝てなくて苦労していたんですね。

いつものように俺が夜に自宅の庭でトレーニングをしていたら、子どもの部屋のカーテンの隙間から、子どもが俺の姿を見ていたんですよ。普段は何も言わないけど、俺をちゃんと見てくれてると思ったら、諦めるとか、やめるとか、そういうことじゃないなと。カッコ悪くても、とにかく『SASUKE』を続けようと思いましたね。俺には『SASUKE』しかないんだなって。

※この続きは、現在発売中の『SASUKE公式BOOK』にてお楽しみください。

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『SASUKE公式BOOK』では、「ミスターSASUKE」山田勝己の他、完全制覇を成し遂げた4選手全員、SASUKE新世代、第8回大会ファイナリストのケイン・コスギ樽美酒研二(ゴールデンボンバー)など『SASUKE』に魅了されてきた男たちを独占ロングインタビュー!!

その他、12月27日放送の第41回大会に向けた一般オーディション、高校生が出場権を争った第1回SASUKE甲子園、500人による最終予選会など壮絶な裏側に密着。そうして決定した第41回大会出場全100人の選手名鑑を掲載。さらに過去40回大会の結果、出場選手のデータも網羅!!

スポーツ・エンターテインメントの金字塔『SASUKE』の第41回大会がさらに楽しみになる初の公式ブックとなっています。

また、太田出版の通販サイト「QJストア」では、山田勝己が表紙を飾る特別バージョンを発売。

【QJストア限定】ミスターSASUKE・山田勝己が表紙を飾る『SASUKE公式BOOK』

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