40代女子が直面する切実な問題にたくさんの共感の声が届いていた、雁須磨子によるマンガ『あした死ぬには、』が、このたびついに完結。本日10月14日、最終巻となる第4巻の発売日を迎えました!
完結を記念して連続配信中のスペシャル記事・第3弾となる今回は、読者の皆様から募集した質問に、『あした死ぬには、』著者の雁須磨子さんが一問一答形式でご回答。コミックの内容に関する質問から雁さんの近況まで、全20問にお答えいただきました。また、当記事の末尾にはプレゼント企画もご案内していますので、ぜひ最後までお読みください。(一部ネタバレを含みます、ご注意下さい)
雁須磨子「一問一答」
◆Q1 雁先生は、年代も性格もさまざまなキャラクターを魅力的に描き分けられていらっしゃいますが、キャラクターの人物像を考える時、想像で固めていくのでしょうか?
お友達やご自身の性格、エピソードを反映させることはありますか?
エピソードは聞いたことや体験を反映させることが多々あるんですが、キャラクターの造形、性格はほぼ想像で固めていきます。
自分の性格は大いに反映されていますが、そこまで似てる!というキャラクターもいないと思います。漫画の登場人物にあまり向いてないのかも。
◆Q2 先生の台詞回しが好きです。人生で心に残った言葉、大切な言葉を教えてください。
さいきんはよくドクターハウスのS5EP1ウィルソンの「みんなアンバーのこと好きじゃなかったくせに」ってセリフを反芻しています。
あとボルヘスの短編で知った、ユゴーの「星辰の鱗まといし身をよじる天の海蛇」。
単に綺麗で響きも気持ちいいからたまに思い出してます。
◆Q3 人物の表情やモノローグの魅力はもちろんのこと、雁須磨子先生の作品では、登場人物の髪型やお洋服を見るのも大きな楽しみです。
先生ご自身もおしゃれを楽しんでいらっしゃいますか?
お気に入りの街やお店など、ちょこっとでいいので教えていただけませんか?
普通です。普通〜ややおしゃれは放棄。。ぐらい。。髪の毛が全然まとまりません。
街はどこが好きだろう。このあいだ韓国コスメを買いに新大久保に行きました。楽しかったです。
◆Q4 最近読んだおすすめの本やドラマ、ポッドキャストなどを教えてほしいです。
スーパーナチュラルと……
アシスタントさんから教えてもらった能町みね子さんと高橋ユキさんの配信動画とか買って見てます。話し方がすごく好きです。
ネトフリの『真夜中のミサ』おもしろかったです。
◆Q5 雁須磨子先生のキャラクターのネーミングセンスが大好きです!
名づけの由来やこだわりなどありますか?
ほんとですか。うれしいな。昔は地名とかからとってました。最近はなんとなく思いついたのつけてて本奈とか宇郷(『うそつきあくま』)とかは本当にある名字なのかもわかりません。
◆Q6 須磨子さんの「小さいけれど大事な心の動き」の表現がすばらしくて、そこを見逃さないところが本当にすごいし、大好きなポイントです。どうやってその気持ちを覚えているのだろう、見逃さずストックされているのだろうと。昔から日記を書かれていたりしますか?
日記は以前持ってたホームページのweb日記とツイッター(日記かな)ぐらいで、記録をつけること自体がほとんどありません。でもやっぱすごい悲しいことがあって泣いてる時やあわてててんぱった時とかは「この感じおぼえとこ!」て思います。
◆Q7 書店に行かれた際に、ご自身の漫画を目の前で買っている人に出会われたことはありますか?(また電車の中で読んでいるなど)
昔一回だけ本屋で見たことがあります。
◆Q8 『あした死ぬには、』のストーリーはどのように考えられましたか?
ラストシーンは漠然と?はっきりと決めてから終着まで紡いでいかれたのでしょうか?
最初は有岡というキャラクター自体が(構想の中に)いなかったのでもっと違う感じになってたかもしれません。ラストのモノローグだけは途中から決まっていました。
最初にも決めた様な気がするけどそっちはもう覚えてません。
「話を終わらす回」を描くのは好きなのでなんとかなるだろうという気でいつも描いています。
でも『あした死ぬには、』は自分の漫画の中でも珍しいほど計画を立てて描いた話だと思います。
◆Q9 漫画を描かれる時、これは欠かせないというものや習慣はありますか?
音楽や映像を流すとか、リフレッシュのために身体を動かすなど。
やろう!と思って2日ぐらい机に向かって液タブを見つめ何もせず、昼夜が逆転し3日ぐらいすごいどうしようもないぐらいすぐ寝たりソシャゲとかして頭がへとへとになり、自分に絶望してきてようやく他人の漫画や小説や、配信でドラマなど見て創作物に触れ、やらないと終わりでしょ!て言いながら初めてセリフを書き出したりし始めます。
途中までコマが割れたらもうだいたい終わるので美味しいご飯を作ったりします。
遠くのスーパーまで行く間の商店街とかがリフレッシュかな。
◆Q10 ペンネームの由来について質問です。
「カリスマ」という単語が由来のペンネームだと思っていたのですが、『あした死ぬには、』4巻収録話にて、本奈さんが、独立後の事務所名を作るくだりがありました。
その際に、「カラマリ」という社名について、周りから好きな映画からの引用ということを何度か指摘されるシーンがありました。(この辺、現在読み返せないので、私の勘違いでしたらすみません)
このやりとりを見てビビッと来たのが、雁須磨子先生のペンネームも、ここが由来なのかな、ということです。
つまり、
「カウリスマキ」→「カゥリスマコ」→「雁須磨子」
ということを考えたのですが、いかがでしょうか?
長い質問で、かつトンチキなことを質問してまい恐縮ですが、よろしくお願いします。
雁須磨子は中学生の時につけたペンネームなのでカリスマからです^^
音楽雑誌の誰かのページにカリスマって書いてあったんだったと思います。
カウリスマキのファンになって、響きが少し似てる。。!と嬉しかったです。
カリマコス……っていう紀元前の詩人もいるんですよ。
◆Q11 『あした死ぬには、』は全編通して超絶技巧的な漫画ですが、特に鳴神さんの描写が凄まじかったです。ともすれば読者が飲み込みきれないようなキツい境遇の人であるとも思うのですが、良い意味でとても軽やかで、しかし茶化したり矮小化したりするでもなく描き切っていて、雁先生のバランス感、力量を感じました。つらい展開を描く際のそういったバランスについてどういう工夫をしているのか、よかったらお伺いしたいです。
バランスは「くせ」だと思います(バランスをとるくせではなくて、自分のくせでバランスのパラメーターを決めてる)。だから自分の感覚が危うくなった時気づきにくいんじゃ……と危惧があります。
壊して違うパラメーターで描いてみたいという欲望もありますが、そんな風に言ってもらえて嬉しいです。
◆Q12 多子の失敗、とてもリアルで共感できて辛かったです。多子は気分をあげるためにたくさん通販してましたが、先生だったらどうされますか?
また、落ち込んだ時、気分をあげたい時に食べるもの(メニューでも食材でも)あったら教えてください。
気分を上げたい時に食べるのは多子と一緒で寿司です。
すごい落ち込んだ時はどうするかな……人に言って通じそうな時は、人と喋って何があったのかを具体的に何回も説明して自分の状態と起こったことを、自分にわかるように説明していきます。何回も言わないと(自分が)いうこと聞かないので……
そうじゃない時はもうなんか無みたいな気持ちになってゲームしたり寝たり料理したりですかね。掃除と風呂もいいですね。
◆Q13 多子の職業を映画配給会社にしたのはなぜですか?
「物語」に間接的に触れている人がよかったからです。
◆Q14 雁さん独特のふんわりしたタッチ、特にカラーの絵が好きです。『あした死ぬには、』の表紙イラストは、どれも名画モチーフでとても素敵でした! 画材はすべて水彩なのでしょうか…? よかったら、どんな画材を使っているか見せていただけると嬉しいです。
ありがとうございます。色は透明水彩です。おもせんは三菱のARTERASE COLORという色鉛筆です。消しゴムで消せて水に流れない!
◆Q15 『あした死ぬには、』が映画化されるとしたら希望される監督はいらっしゃいますか?
誰だろう……。映像化とかはほんととんと縁がないので想像もつかないです。
でもこの質問はなんだか嬉しいです。
◆Q16 三月ちゃんが好きなので、生まれたきっかけやモデルにした人がいたら教えていただきたいです。
ありがとうございます! 三月ちゃんは多子と同時にできました。モデルにした人はいませんが、自分の年下の友人たちとの「この感じ」みたいのが投影されている気がします。
◆Q17 『あした死ぬには、』の中で友達になりたいキャラクターは誰ですか?
誰ですかね。多子かな。漫画家だし気も良さそうだから日比さんかな。
◆Q18 三月ちゃんの「いっこいっこ怒るのやめたくない」という台詞が大好きなのですが、雁先生が最近怒った事は何かありますか? また、怒りが湧いたときに何か対処法はありますか?
短気なのでいちいちカッとはなるんですが、そういう怒りを持続して持つのは難しいですね。
怒りを持ちながら、コントロールして暮らし、それを自分にも他人にもつまびらかに説明できるようになりたい!と思います。怒りを表面に出す時ちゃんと出せるように…。
でも過去の自分の場面で、怒らなきゃ!意見しなければ!て時に意見した自分が震えたり興奮で泣いたりしてしまってみっともなかったことも、やっぱり言っといてよかったなーと思います。
◆Q19 梅木という絶妙なキャラクターを生み出した雁先生、梅木に対して何か一言言うとしたら、なんと言いますか?
「しっかりして〜」
◆Q20 『あした死ぬには、』の中で一番好きなお話はどの回ですか? その理由も教えていただけたら嬉しいです。
最終回かな。「全部入ったぞ!」感がありました。とけいちゃんが出てくる回も好きだな。
質問ありがとうございました。楽しく答えさせていただきました。
メッセージも転送していただきました。
しあわせものだな。
ありがとうございます。
雁須磨子
* * *
次回『あした死ぬには、』スペシャル記事は10月18日(火)に公開予定。火曜日・金曜日に集中配信中!
完結巻『あした死ぬには、4』(雁須磨子・著、太田出版)は、本日10月14日より全国書店・通販サイト・電子コミックストアにて順次発売。A5判・160ページ、1,320円(本体1,200円+税)。プレゼント企画も本日より開催。どしどしご参加ください!
『あした死ぬには、』お試し読みはこちら。
★プレゼントキャンペーン「#あした死ぬには名場面」開催!
あなたが選ぶ名台詞・名シーンとして、『あした死ぬには、』の好きな場面をハッシュタグ「#あした死ぬには名場面」でSNSにご投稿いただいた方に、抽選で雁須磨子さん直筆サイン入りミニ色紙を3名様、特製クリアファイルを12名様、合計15名様にプレゼント。
たくさんの名シーン投稿とご感想を、お待ちしております!
●プレゼント内容
◎雁須磨子さん直筆サイン&イラスト入りミニ色紙 3名様
◎『あした死ぬには、』④巻カバーイラストクリアファイル 12名様
抽選で合計15名様にプレゼント!
●応募期間
2022年10月14日(金)~11月14日(月)23:59まで
●応募方法
1.TwitterまたはInstagramの弊社コミックサイト「Ohta Web Comic」公式アカウントをフォロー。
・公式Twitter(https://twitter.com/OhtaWebComic)
・公式Instagram(https://www.instagram.com/ohtawebcomic/)
2.『あした死ぬには、』のお好きな名台詞・名シーンを、ハッシュタグ「#あした死ぬには名場面」をつけて投稿。
期間中は何回でもご応募OKです!
詳細は太田出版公式サイト・キャンペーン詳細ページ(https://www.ohtabooks.com/press/2022/10/14120000.html)よりご確認ください。
筆者について
雁須磨子
かり・すまこ。福岡県出身。1994年に『SWAYIN' IN THE AIR』(「蘭丸」/太田出版)にてデビュー。BLから青年誌、女性誌まで幅広く活躍し、読者の熱い支持を集め続けている。2006年に『ファミリーレストラン』(太田出版)が映像化。2020年、『あした死ぬには、』が第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。『幾百星霜』(太田出版)、『どいつもこいつも』(白泉社)、『感覚・ソーダファウンテン』(講談社)、『うそつきあくま』(祥伝社)、『ロジックツリー』(新書館)など、著書多数。