1月4日に行われた新日本プロレス東京ドーム大会で「第0試合」に出場し、熱いファイトで会場を一気に温めたのが、50歳にして世界の第一線で活躍し続ける男・鈴木みのる。昨年から“プロレス王”と呼ばれるようになった彼だが、常に「今のオレが最高」と断言する彼の原動力とは何なのか? 東京ドーム大会に先駆けて発売された「ケトルVOL.46」で、鈴木はこう語っている。
「むしろ昔よりも良くなっている。大切なのはここ(ハート)だよ。なぜ年を取るとコンディションが落ちてくるかといったら、キャリアを重ねた分、練習でも効率よく最短で効果が出る方法に手を付けてしまうからなんだ。そうすると、段々と気持ちがフレッシュではなくなっていく。そういうのをオレは全部やめた」
“明日のために今を選択するようになると年老いていく”と語る鈴木。“明日は試合だから、今日の練習はこのくらいにしておこう”と考えるのではなく、常に新人レスラーのように、自分を追い込み続けているようだ。
「たとえば、キックミットを一番下の若手に持たせて、オレに指示を出させる。『です』とか『ます』とか敬語を禁止にしてね。『はい右』『もっともっと!』って。そうやって自分よりも30歳くらい下のやつに言われると、やっぱりムカつく。『この野郎』って気になるよ。でも、それがモチベーションになって、ガキみたいな『負けてられるか』って気持ちが蘇ってくるんだ。そうやっていると、どんどんカラ
ダも若返っていく。今のオレは20代のときよりも強いよ」
鈴木の師匠であり、“プロレスの神様”として知られるカール・ゴッチは、「プロレスラーの一番の武器はコンディションだ」という名言を残したことで知られているが、その影響もあるのだろうか?
「若いときは意味がわからなかったけど、今ならよくわかるね。オレは年間150試合くらいやっているけど、そうなると『今日は準備ができてないから』とか言ってられない。『いつでもやれるぜ』って状態でいなければ、プロレスラーとしてトップであり続けることはできないんだ」
高いプロ意識をもってプロレスに向かい合う鈴木は、
「オレの記憶では50歳で世界のトップランクにいた選手はいない。ルー・テーズ、カール・ゴッチといった伝説のプロレスラーたちも、現役ではあったけど世界のトップではなかった。アントニオ猪木やジャイアント馬場だってそうだった。でも、オレはここからさらに上へ行く。今のオレはプロレスラーを夢見て部屋の中で腕立て伏せをやっていた15歳の頃の気持ちにすごく近いよ。年齢はFifty(50歳)だけど、カラダとハートはFifteen(15歳)だね」
と、まだまだ貪欲。平成という時代はまもなく終わるが、昭和にデビューした鈴木が、まだまだプロレス界をかき回してくれそうだ。
◆ケトルVOL.46(2018年12月15日発売)
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