いま小中学生が憧れる職業として、必ず上位にランクインするのが「YouTuber」。そんな憧れの職業で、破竹の勢いで登録者数を増やしているのが、トミーとカンタの2人組「水溜りボンド」だ。チャンネル登録者数が400万人にも迫る彼らは、4年間とにかく毎日動画を上げ続ける……という方法で人気を得たが、最初からYouTuberとして生きていくつもりだったのか? 2019年2月23日発売の『クイック・ジャパン』vol.142で、2人はこう語っている。
カンタ 「もともと1年目で結果が出なかったら、辞めて就職しようと思ってました。『1年で10万人いかなかったらやめよう』と。その代わり1年間は全力でやろうと思ってた」
トミー 「お互い家が厳しいんで……飯食えないのにYouTuber になるなんて許してもらえる家庭ではないですし。でも僕はなんか……あんま深く考えたことなくって。まあもうダメだったらダメだし、才能なかったってことだし、でも可能性を信じないっていうのはカンタに失礼なんで。
まあ簡単にいうと、カンタのこと面白いと思ってたんで、将来の不安とかそんなに感じてなかったんですよ。しかも、2年目ぐらいから、夢がひとつずつ叶うようになってきて。そこからが自分たちの本当の勝負だった気がする」
やはり、最初から確信を持っていたわけではないという2人。現時点では極めて順調な彼らだが、発言を聞く限り、浮かれる様子は微塵もないようだ。トミーはこう語っている。
トミー 「5年後10年後、YouTuber って全然見え方変わってくると思うんですよね。今は『ラッキーな媒体』っていう見え方が圧倒的だけど、YouTube 自体は全然甘い業界ではないんで。YouTube の在り方、動画の流行りとか変化のスピードがものすごく早い。僕たちは常に『進化のための変化』を求められていて、だからこそ一個信念を強く持っておかないと、変化の判断を見誤る可能性があるなというのは常に思ってることです」
そう語るトミーだが、今や彼らは多くの子どもたちにとって憧れの存在だ。そんな彼らに、カンタはこのようなメッセージを送っている。
カンタ 「僕らも顔出しすることに抵抗があったし、『とりあえずYouTubeやってみようぜ』ってノリでやったわけじゃなくて、ストックをもう10本20本作って練習した上で絶対に黒歴史にならないようにしようとか、たくさんの人に見られる怖さを知った上でやろうと決めていた。人生かけてやるぐらいの気持ちでやってたんですけど、今の小学生にはその感覚までは伝わってないですよね。
スマホやネットに当たり前に触れていて、僕らが抱えてるネットの怖さなんて、全然感じてない、すごいフレンドリーなものになってる。制服着たまま普通に動画上げたりとか……。そういう感覚のままなら、YouTuber にはならないほうがいいと思う。でも、なにかを表現したい、たくさんの人に見てもらいたいってしっかり覚悟があるんであれば、その時一番流行ってるメディアで挑戦するのは当然の成り行きなんじゃないでしょうか。やっぱ僕は新しく出てくるYouTuber に対しては、見たことないやつをやってほしいなって思います」
“好きなことを好きなようにやっているだけ”とも捉えられがちなYouTuberだが、成功するためにはやはり才能と覚悟が必要だということ。彼らの動画を夢中で観ているファンたちが、将来の彼らのライバルなのかもしれない。
◆『クイック・ジャパン』vol.142(2019年2月23日発売/太田出版)
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