大手コンビニが8月限りで成人誌の取り扱いを止め、戦後のカストリ雑誌から数えておよそ70年の成人誌の歴史は事実上終わった。そこで、風前の灯となったエロ本への感謝と惜別の意を込めて、アダルトメディア研究家の安田理央氏が上梓したのが、7月2日に発売された『日本エロ本全史』だ。
同書は1946年から2018年まで、日本のアダルト誌の歴史を創刊号でたどったもの。日本最大級のアダルト誌コレクターである安田氏が、自身のアダルト誌創刊号コレクションから、エポックメイキングな雑誌100冊をピックアップし、オールカラーで紹介している。エロ本への感謝と惜別の意を込めて、同書から1997年創刊の『チョベリグ!!』(東京三世社)を紹介しよう。
同誌が創刊された90年代は、ヘアヌードバブルが到来し、宮沢りえの『Santa Fe』は売り上げが155万部を記録。一方ではボンデージ、熟女、脚など、「フェチ」が開拓された時代でもあった。『チョベリグ!!』が目をつけたのは“コギャル”だった。
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90年代前半、コギャルと呼ばれた少女たちが街に現れた。彼女たちは、茶髪に焼いた肌、ミニスカなどの露出度が高い派手な服装と派手なメイクというファッションに身を包み、それまでの「可愛い女子高生」や「不良の女子高生」とは全く違ったタイプの人種だった。そんな彼女たちをテーマにしたエロ雑誌が『チョベリグ!!』だ。
前年に『オーケイ !』を創刊させ、オールカラー100ページ以下で記事はほとんどなく、ビニ本のような大胆な写真レイアウトというスタイルを成功させていた染宮正人編集長が新たに手がけた雑誌であり、その読者のニーズに応えたストレートな編集方針は拍手を持って受け入れられた。そして、よくも悪くも00年代以降のエロ本は、彼の生み出したスタイルがベースとなっていったのだ。
しかし、コギャルを扱ったエロ本やAVが出揃うのは、彼女たちがギャルと呼ばれるようになった21世紀に入ってからのことである。当時は、まだまだコギャルはキワモノ扱いされていたのだ。そういう意味でもいちはやく『チョベリグ!!』を手がけた染宮編集長の先見の明には感心する。彼のその後の展開を見ると、単に自分の趣味だった気もするが……。
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70年代の実験期、80年代の全盛期を経て、成人誌は90年代の成熟期を迎えるが、インターネットの登場によって、急速に勢いを失うことになる。『チョベリグ!!』には、プリクラ、ベル番など、この時代ならではのキーワードも多数登場するが、これを「当時の流行や文化を知る貴重な資料」と言っては褒めすぎなのだろうか……。
『日本エロ本全史』(安田理央・著/太田出版)は2019年7月2日発売。3700円+税。
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・日本エロ本全史-太田出版
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