元・格闘家の須藤元気を中心に、サラリーマン・スーツに身を固めたメンバーが、エレクトロ・ポップな歌に乗せ、アニメーション・ダンスを踊るユニット「WORLD ORDER」が、セカンドアルバム『2012』を6月20日に発売した。昨年7月にロスで開催されたIT業界の世界的カンファレンス『WPC』でオープニングアクトを務め、話題となった彼ら。須藤は、活動の狙いをこう語っている。
「僕は地球人として、常々、世界で勝負したいと思っているんです。そのためには、むしろ日本というローカル性を前面に押し出すのが近道だと。じゃ、いまの日本の強みって何? って考えると、『サブカルチャー』なんですよね。そこからスーツでアニメーション・ダンスを踊るっていう発想が出てきたんです」
格闘家時代から、常に状況を俯瞰して、一番効果的な見せ方を探ってきた須藤らしい的確なコンセプト・メイキングだ。だが、初めからすべてスムーズだったわけではなかった。
「いま話したようなことをプレゼンするんですけど、最初は誰も相手にしてくれなかったんですよ。これはもう百聞は一見にしかずだなと思って、自分の貯金を下ろして、2分間のデモPVを作ったんです。予算も限られてるので、撮影や編集に凝るのは難しい。そこで街中で踊って、ゲリラ撮影したんですね。通行人も素のリアクションで映り込む。結果として、このナマっぽいテイストがよかったんです」
この動画をYouTubeにアップしたところ、1週間で再生回数が10万回を突破。新しいアルバムのDVDに収録されている新曲のPVには、メンバーが歌舞伎町のホストに扮しているシーンも含まれているが、そうした”ギャグ的アプローチ”にはどういった意図が込められているのだろう?
「楽しく笑っているヤツを嫌いになる人はあまりいないですよね? だったら楽しんだほうがいいじゃないですか。鏡の中の自分を見て『おまえが笑ったら、オレも笑おう』って勝負しても、絶対勝てない。こっちが笑えば、鏡の中の自分も笑うんです」
須藤は、「それが僕の気付いた世界秩序(WORLD ORDER)。楽しんでるヤツのところには楽しいことがやってくるっていう、すごくシンプルな法則なんです」と語っている。
◆『クイック・ジャパン』vol.102(6月12日発売/太田出版)
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