30年以上にわたり様々なジャンルを横断しながら、専門書から一般書まで幅広く刊行してきた太田出版の最新メディア「OHTABOOKSTAND」(https://ohtabookstand.com/)が、2022年2月1日にオープン。読みは“おおたぶっくすたんど”。
「OHTABOOKSTAND」 は、書籍化を予定するエッセイなどの“読み物”の配信を中心としたWebメディア。新連載には、哲学者・永井玲衣が綴る『ねそべるてつがく』、2児の母でライターの堀越英美による『ぼんやり者のケア・カルチャー入門』、大阪在住ライター・スズキナオの旅エッセイ『自分を捨てる旅』、ライター・パリッコによるお酒と育児の両立をテーマとした『缶チューハイとベビーカー』、政治学者・中島岳志による本格論考『縄文——ナショナリズムとスピリチュアリズム』、以上の豪華5作がオープニングにラインナップしました。(※連載詳細は後述)
このほかにも、執筆陣や刊行に関するニュースや書籍の試し読みを順次公開。また、無料会員にはメールマガジンの配信が予定されています。好調メディア「QJ Web」(https://qjweb.jp/)に続いて登場した太田出版の新メディア「OHTABOOKSTAND」に、ぜひご注目を!
※旧Webマガジン「太田出版ケトルニュース」で掲載されていた過去記事は「OHTABOOKSTAND」へ移行し、引き続き閲覧が可能です。
連載ラインナップ
各連載は、2月1日11時より配信開始!
『ねそべるてつがく』永井玲衣
紀伊国屋じんぶん大賞入賞作『水中の哲学者たち』で話題の永井玲衣さんによる新連載。つねに何かを求め、成長し、走り回らなければならない社会の中で、いかにして「考える自由」を探し求めることができるのか。「ただ存在するだけ運動」や「哲学対話」を実践する哲学者がつまづきよろめきながら、言葉をつむいで彷徨います。「考える」という営みをわたしのものとして取り戻す、新感覚の哲学エッセイ!(毎月第4木曜日掲載予定)
永井玲衣
ながい・れい。哲学研究と並行して、学校・企業・寺社・美術館・自治体などで哲学対話を幅広く行っている。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。詩と漫才と念入りな散歩が好き。
『ぼんやり者のケア・カルチャー入門』堀越英美
『女の子は本当にピンクが好きなのか』・『不道徳お母さん講座』で話題の堀越英美さんによる新連載!最近よく目にする「ケア」ってちょっと難しそう…でも、わたしたち大人だって、人にやさしく、思いやって生きていきたい…ぼんやり者でも新時代を渡り歩ける!?「ケアの技術」を映画・アニメ・漫画など身近なカルチャーから学びます。 (毎月第2木曜日掲載予定)
堀越英美
ほりこし・ひでみ。1973年生まれ。フリーライター。著書に『女の子は本当にピンクが好きなのか』・『不道徳お母さん講座』・『モヤモヤする女の子のための読書案内』(河出書房新社)、『スゴ母列伝』(大和書房)、訳書に『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』(河出書房新社)、『ギタンジャリ・ラオ STEMで未来は変えられる』(くもん出版)、『ガール・コード』(Pヴァイン)など。
『自分を捨てる旅』スズキナオ
話題作『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』などの著書を持ち、現在「最も注目すべき」エッセイの書き手として知られるスズキナオさんの新連載エッセイ。「ああ……疲れた」観光名所をめぐり歩く、お腹がはち切れんばかりに食べる、記憶を失うほど酒を飲む……そんな体力はもうないが、それでも旅がしたい。執着を解き放ち、自分の輪郭を失くしながら歩く知らない町。人に出会い、話を聞く。言葉に出会い、考える。それでもこの世界をもう少し見てみたいと思う小さな旅の記録。前向きな言葉に、大きな声に、すべての疲れている人へ。 (毎月第3金曜日掲載予定)
スズキナオ
1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。WEBサイト『デイリーポータルZ』、『集英社新書プラス』、月刊誌『小説新潮』などを中心に執筆中。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』、『酒ともやしと横になる私』、『関西酒場のろのろ日記』、パリッコとの共著に『酒の穴』、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』、『“よむ”お酒』、『のみタイム 1杯目 家飲みを楽しむ100のアイデア』、近刊に『「それから」の大阪』(2022年2月17日発売予定)がある。
『缶チューハイとベビーカー』パリッコ
「チェアリング」という活動を生み出し、お酒の企画ではテレビ、新聞、雑誌、ウェブメディアに欠かせない存在となった酒場ライター・パリッコさん。「育児エッセイだけは絶対に書かない」と心に決めていた著者による初の「育児と酒」についてのエッセイ連載。これまで子育ての苦労や幸せを綴った育児エッセイは偉大な先人たちが数多く残している。しかし、「育児しながらどう酒を飲むか」がテーマの文章はほぼ存在しないのではないか。その苦難と小さな幸せを、すべての同志たちとともに。(毎月第1・第3金曜日掲載予定)
パリッコ
1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半より酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『つつまし酒 あのころ、父と食べた「銀将」のラーメン』、『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』、『晩酌わくわく!アイデアレシピ』、『天国酒場』、『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』、『ほろ酔い!物産館ツアーズ』、『酒場っこ』、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』、スズキナオ氏との共著に『のみタイム 1杯目 家飲みを楽しむ100のアイデア』、『“よむ”お酒』、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』、『酒の穴』(シカク出版)。
『縄文 ナショナリズムとスピリチュアリズム』中島岳志
『中村屋のボース』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『親鸞と日本主義』など数々の著書で日本という国について、新たな、独自の視点で論じてきた政治学者・中島岳志さんによる本格論考連載がスタート。初の著書『ヒンドゥー・ナショナリズム』が出版されてから節目の20年目の2022年に始まる論考のテーマは「縄文」。「古代」に夢中となった幼少時代の記憶から始まり、学生時代のジャン=ジャック・ルソーの思想との衝撃的な出会いをたどる。人は「原始」の中に「イノセントなもの」を見出し、今生きる社会の閉塞を突破しようとする。岡本太郎が、柳宗悦が「縄文」を発見し、島尾敏雄が「縄文」の中に天皇以前の原日本人を見出し、吉本隆明を南島論へと向かわせる。「縄文論」は、ヒッピームーブメントとも接続する一方、右派的なスピリチュアリズムとも結びつく。いまの時代こそたどるべき、「縄文」から読み解くまったく新しい「縄文と日本」の系譜学。 (毎月第4金曜日掲載予定)
中島岳志
なかじま・たけし。1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。北海道大学大学院淳教授を経て、現在は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大仏次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『パール判事』、『秋葉原事件』、『「リベラル保守」宣言』、『血盟団事件』、『岩波茂雄』、『アジア主義』、『下中彌三郎』、『親鸞と日本主義』、『保守と立憲』、『超国家主義』、『保守と大東亜戦争』、『自民党』、『思いがけず利他』などがある。