30年分の“知っておくべき”がこれ一冊に 『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』

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「デジタルマーケティング」を軸に、広告にまつわるテクノロジーや当時の社会情勢など30年分の情報をまとめた『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』が、2022年4月9日(土)太田出版より発売される。執筆は、博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所上席研究員の森永真弓。(※詳しい目次とイベント案内は、記事最後部に掲載!)

インターネット広告が登場したのが1990年代。当初こそ懐疑的に見られていたものの、20年あまりのうちにあっという間に存在価値を認められ、タッチポイントのプランニングや予算を考えるときに「まずはインターネット広告から」検討へと、インターネット広告は立場を大きく変容した。そして今や、マーケティングにデジタルが使われていないことはほぼない。そんな“デジタルマーケティング史”を軸に、広告にまつわるテクノロジーや当時の社会情勢など、30年分の「知っておくべき」が一冊に収録されている。

『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』森永真弓・著

帯には、「さとなお」ことコミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之がコメントを寄せた。

流行っては廃っていくテクノロジーやノウハウに右往左往しなくなるための武器。
それは「欲望」の大きな流れを読む「俯瞰力」だ。

佐藤尚之/『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』帯より

また、筆者・森永氏より、出版にあたってのコメントが到着。
執筆のきっかけや、デジタルマーケティングを「人の欲望」を中心にして纏めることとなった経緯などを述べた。

出版に至るそもそものきっかけは「ここ30年に及ぶ、インターネット広告に関わる進化の流れ」を整理して語る勉強会をしてほしいというオーダーがあったからでした。

デジタルマーケティング市場がここまで広さも深さも拡大した結果、専門性もどんどん細かくなっています。マーケターは常に変化する状況に対応し続けるだけでも日々大変です。
その結果「自分の担当領域には詳しいけれども、他は知らない」担当者が増え「既に昔に語り尽くされたような失敗が起きる」「見ているマーケティング領域がデジタルだけではない担当者と、デジタルだけの担当者で話が食い違って理解のすり合わない」という問題が増えている、という状況がそのオーダーの裏にはありました。「そんな今こそ、過去から学び、流れを知って自分の立ち位置を俯瞰で理解するべきでは、という発想に至りました」という趣旨の説明がありました。

とはいえ最初は「そういう資料ありませんか?」的なニュアンスだったので、「そんな便利なものはありません」と即答していたのですが、折角の機会と捉えて、作ってみてもいいかなあと考え始めました。
「もし多少時間をいただけるなら、イチから作りますがその余裕はありますか?」と聞いてみた所「もちろんです」ということで出来上がったのが、数十ページのパワポ資料です。

が、とにかくこの資料が難産で。
インターネットの歴史って、世界史みたいなんです。
年表で並べていくと「ローマがこうだった時トルコでは」「しかしここでローマとトルコの歴史が合流しまして」みたいな感じで「アドテクでこうだった時クリエイティブでは」「ここでモバイルとPCが合流しまして」となるのです。バラバラに進行したりくっついたり離れたりを繰り返すので、時系列に並べるだけでは全然整理にならないんです。

他にも例えば、mixiが登場したのは2004年ですが、mixiの日本社会への影響を語るなら2008年ぐらいのタイミングにはしたい、となります。それはYouTubeにもiPhoneにも、ありとあらゆるモノ・コトに及ぶことでした。となると、登場時の年号で語ると、実態を表すことにならないわけです。

どうにかして、複数ラインを大きな流れとして同時に受け止められるような語り口と、実際に普及したタイミングで語れるような整理が実現できないだろうか……と、無い頭を絞りに絞ってたどり着いたのが「変化のベクトルを生み出した、人の欲望を中心に語っていこう」でした。
それを発見したら早かった気がします。
結局、歴史を作ってきたのは人なんだ、ということに帰着したのです。(以下略)

「マーケティング」とはそもそも、人の欲望をリサーチ・分析するための手段。そのマーケティングのためのテクノロジーも、その人の欲望をきっかけに変貌・進化している。マーケター・ブロガーはもちろん、ネット販売を検討している方まで、マーケティングをあらためて30年の歴史から学び、テクノロジーの変化に負けない「俯瞰力」を鍛えてみては。なお、書籍カバーはイラストのスマートフォン画面がくり抜かれており、そこから広大なインターネットを連想する海が描かれた表紙が覗く。

『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』は2022年4月9日(土)より発売。2,500円(本体2,273円+税)。装丁デザインは岩間良平(trimdesign)、イラストは坂内拓。

【イベント案内】
『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』の森永真弓と、『映画を早送りで観る人たち』(光文社)の稲田豊史によるW刊行記念イベントが開催決定!
4月19日20時より、オンライン(Zoomウェビナー)にて開催です。チケットはPeatixで受付。
「スキップされる映画、ブロックされる広告」
https://bb220419b.peatix.com/

『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』表紙デザイン
『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』より年表

『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』目次

はじめに
年表

1章 90年代後半:デジタルマーケティング業界はどのようにして誕生したのか
01 アマチュア無線のように広がったインターネットの世界
02 インターネットの世界を前進させたWindows、iMac
03 インターネットユーザーの欲望が生み出したインターネット広告
04 人材の流入により急成長したインターネット業界
05 Googleの誕生

2章 2000〜2003年:デジタルマーケティングが存在価値の証明を模索した時代
01 加速度的に発展するインターネットの世界
02 検索広告による広告の民主化
03 効果を証明して存在価値を認められたいデジタルマーケティング業界
04 デジタルマーケティングの概念を覆したBMW Films

3章 2003〜2008年:情報発信者の変化がもたらした新たな変化
01 情報を自ら発信したい生活者たち
02 生活者という発信者を活用したデジタルマーケティング手法
03 生活者主導メディアを広告媒体化したUNIQLOCK
04 生活者が繋がりあい、情報を共有しあうプラットフォームの増加
05 インターネットの地位の変化
06 大企業も見すごせないインターネットの存在感の確立
07 インターネット広告も急速に進化

4章 1999〜2010年:モバイルという、もうひとつのデジタルマーケティング市場
01 インターネットのガラパゴス 「ガラケー」の世界
02 「ガラケー」世界のデジタルマーケティング

5章 2008〜2011年:リーマンショックによる強制的な変化の加速
01 リーマンショックによる広告費の激減とその余波
02 広告費0円露出の波
03 マーケティングのインハウス化

6章 2011〜2013年:デジタルを使わないマーケティングが存在しない時代へ
01 今日的デジタルマーケティングの始まり
02 スマートフォンの主流化とSNSの浸透
03 スマートフォンシフトがデジタルマーケティングに与えた影響
04 インターネット広告の変化

7章 2013〜2016年:デジタルマーケティングと、マスマーケティングの相互理解の鍵
01 獲得に寄与するパフォーマンス広告の効率化がより深化
02 獲得に寄与しない広告は「ブランディング広告」?
03 効率化による同質化からの脱却

8章 2010年代後半:デジタルマーケティングの拡がり
01 個人がコミュニティヒーローとしてデジタルマーケティングで稼ぐ
02 インフルエンサーマーケティングの浸透
03 マイクロインフルエンサーの活躍
04 あらゆるデータの活用で変わる広告産業
05 広告産業に多くのプレイヤーが参入
06 広告を排除したい生活者

コラム1: 日本のクリエイティブはデジタルにどう影響を受けたのか
コラム2: 世界のプライバシー・データ保護はどう変化するか

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