05年にドラマ『ごくせん』でデビューして以来、ドラマ・映画を問わず数々の話題作に出演してきた俳優の高良健吾が、現在NHKの連続テレビドラマ小説『おひさま』に出演している。ヒロイン・井上真央演じる陽子の夫・和成という役柄は俳優にとって申し分のないものだが、彼はそこにためらいがあったことを、現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.96で語っている。
「朝ドラの話しをいただいた当初はびっくりしましたし、不安でした。俺で大丈夫かなって。でも、やっていくうちに、自分が朝ドラに出る意味のようなものが見つかりつつあります。
僕が朝ドラに出ることで、映画をあまり観ない人を映画館に連れてこられるかもしれないって。どうやったら、自分が出演した映画にもっとお客さんが入るのかなって、ずっと悩んでいたんです」
高良がこれまで出演してきた劇場公開作品は6年間で25本。”売れっ子”と呼んで差支えのない彼だが、朝ドラ出演の裏には、彼なりの強い決意があったそうだ。
「すごく面白いのに、お客さんが入らなかった作品がたくさんあるんです。『ひゃくはち』(08年)など抜群に面白いのに、入らなかった。『ケンタとジュン(とカヨちゃんの国)』(10年/大森立嗣監督)も『M』(07年/廣木隆一監督)もそう。
それってすごくシビアに言ったら、自分の知名度が低いから(客が)入らないのかなあと。じゃあ、僕が朝ドラに出演させてもらうことによって名前と顔を知ってもらえたら、過去の作品のDVDや『軽蔑』(11年/廣木隆一監督)を一人でも多くの人に観てもられるかもしれない」
そんな高良は「今、朝ドラの現場に居られて楽しいですし、幸せです」という。「人気者になりたいとは一度も思ったことはない」と語る彼が、朝ドラで国民的俳優への道を歩み始めたことは、日本映画界にとって間違いなく朗報だろう。
◆『クイック・ジャパン』vol.96(6月13日発売/太田出版)
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