アメリカの大人気ドラマ『HEROES』で、“時空間制御”能力者・ヒロ・ナカムラを演じて称賛を浴びたマシ・オカは、“ギフテッド(天才児)”として育ち、合格したハーバード大学を「没個性の大学」として蹴った異色の経歴の持ち主だ。彼はなぜ、『HEROES』に出演することになったのか? 現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.122で、マシ・オカはこのように語っている。
「『HEROES』に出演する前は役者を辞める覚悟だった。当時アジア人の役はほとんどなくって。その頃僕はILM(インダストリアル・ライト&マジック。ジョージ・ルーカスが設立した特殊効果スタジオ)のロス支社で働きながら役者を目指していたんです。これがダメなら諦めよう……と受けたのが『HEROES』のオーディション。この作品が僕の人生の転機になった」
『HEROES』で一躍時の人となり、日本でも「ヤッター」のポーズが流行したマシ・オカ。この秋からは、『HEROES Reborn』として新シリーズも始まっているが、そもそも彼が役者を目指した理由が、これまた極めて異例だ。
「ILMは色々な趣味やバックグラウンドを持っている人たちが集まっている個性派集団。みんな仕事以外に自分の愉しみを持っている。僕もせっかく大学時代に演劇を専攻していたんだから、レッスンを受けてみようかな~くらいの気持ちでした。暇なときにオーディションを受けて、それがちょこちょこと受かったりもしだして……ちょうど俳優組合に入る資格を持てたので、じゃあ本格的に挑戦してみようとね」
そして「1年で芽が出なかったらサンフランシスコに戻る」という契約を会社と結び、見事に芽が出たマシ・オカ。『HEROES』のヒロは、ある日突然才能に目覚め、その瞬間から思いもよらなかった人生が始まったが、マシ・オカは“ヒーロー”について、
「僕が思う能力とは、自分の個性。それを出すことを恐れない。まずは自分で自分を信じることです。自分が自分を信じないと、他人は自分を信じてはくれない。そこから自分の能力と向きあえばいい。やっぱり自分を信じるって恐怖だから『NO』っていう壁を作ってしまいがちだけど、それを壊して最初の一歩を踏むのがヒーローだと、僕は思う」
と、語っている。
◆『クイック・ジャパン』vol.122(2015年10月13日発売/太田出版)
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