能あるチーターは爪隠さず “チラ見せ”で最速をアピール

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2016年のスポーツ界を振り返るうえでの一大トピックといえば、ウサイン・ボルトのオリンピック陸上男子100m3連覇。“人類史上最速”の称号は彼にこそふさわしいものですが、“地上最速の動物”となれば、瞬間的に時速110kmで走ることができるチーターにその座を譲ります。

チーターは、他のネコ科にも見られるカーブを描いた鉤爪をスパイクのように地面に引っ掛けることで、瞬間的な加速を可能にしています。長さ約3cmの太い鉤爪は、チーター最大最強の武器なのです。

ただ、他のネコ科動物と違うのは、彼らが普段は爪を手の中に隠しているのに対し、チーターは爪が“チラ見せ”状態になっているということ。走り出す前にニュッと完全に出てくるのだそうで、広島市安佐動物公園の広報担当の嶋田さんは、「手の中に収まりきらないのでは」と話します。

強い武器を見せびらかす人ほど大体「張り子の虎」だったりするわけで、だからこそ「能ある鷹は爪隠す」とも言ったりしますが、チーターの場合は本当に地上最速だから、その看板に偽りなし。隠しても収まりきらない能力なら、むしろチラ見せするくらいがカッコよくて説得力があるのです。

同園では、岩や木が点在する広々空間で、チーターのオス2頭、メス2頭を飼育しています。「チーターは寝ていることが多い動物です。横向きに寝ていれば、足の裏を見ることができますよ」と嶋田さん。展示面の一部がガラス張りになっていて、爪のチラ見せ具合もじっくり間近に観察することができます。もちろん足の裏ばかりでなく、草原を駆け抜けるしなやかな体躯も見どころです。

「大体30~40分に1度ぐらいの頻度で展示場内をパトロールしますので、ベンチに座って気長に観察してみてください」(嶋田さん)

◆ケトル VOL.33(2016年10月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。