今年に入り、大物芸能人が違法薬物で逮捕される事件が相次いでいるが、それを複数回繰り返してしまったのが、元タレントの田代まさしだ。何度も失敗を重ね、現在は薬物依存症のリハビリ施設「ダルク」のスタッフとして働く田代だが、ダルクでは色々な経験をしたそうだ。雑誌『CONTINUE』(太田出版)の吉田豪と掟ポルシェの人気コーナー「電池以下」に田代が登場し、このように語っている。
田代 「ダルクに変な人はいっぱいいるよ。だって世の中ふつうにしてたって変なヤツがいっぱいいるわけじゃん。ましてやずっと覚醒剤を使ってたようなヤツはおかしくて当り前で。一番怖かったのは、30歳ぐらいの若いヤツが突然『お久しぶりです』って言うから、『え、会ったことあったっけ?』『ええ、その節はホントお世話になりました』『え、どこで?』『田代さんは知らないかもしれないですけど、“め組の人”と“夢で逢えたら”を作曲したのが僕なんです』って言うの(笑)。
『は? たしかそれは大瀧詠一さんとか井上大輔さんが作ってると思うんだけど』『表向きはそうなってます。僕はあの頃若かったんで、大人たちが無茶してみんな自分たちの手柄にしてしまいましたけど、僕が作ったんですよ』と。挙げ句の果ては、『BOOWYの“マリオネット”も僕が作りました』って(笑)」(※BOOWYの2つ目の「O」は、空集合の記号が正式表記)
これについて、統合失調症の疑いを指摘する掟ポルシェに対し、「薬物だけじゃなくて何か原因があって薬物を使ってる人がけっこう多い」と、説明する田代。違法薬物の使用が犯罪なのは当然だが、その後の対応に問題があると田代は指摘する。
田代 「罰では治らないんだよ。だってそれ治療じゃないじゃん。世の中って人の悪いことを正そうとする人ばっかりなんだよ。寄り添うって考え方がない。近藤さん(近藤恒夫氏=ダルクの代表)は『俺たちぐらい寄り添うってヤツがいてもいいだろう、現にそれで治ってるヤツがいっぱいいるんだ』って言うけど、そういうことは大切だなって」
ダルクとの出会いにより、着実に薬から離れつつある田代。改めて自分のしてきたことを振り返るうちに、1つの結論に達したという。
田代 「なんでやめられないかみんなに伝えるにはどうしたらいいかって、やっとこさたどり着いた答えが『1回やってみてください』なのね」
掟 「まあ、やったらわかりますね(笑)」
田代 「『マーシー、これやめられないわ』って絶対に言いますから。勧めてるわけじゃないんですよ、でもやったら確実に『なるほど、これじゃやめられませんわ』ってなる」
吉田 「『おまえの意志が弱いからだ!』って言う人は、やってみればわかるはずだ、と」
田代 「やってみればわかります、100 %言います。そして大切なもの全部なくしますよって。ただ、過去は変えられないけど未来は変えられるって信じてるし、薬やめることじゃなくて生き方を変えよう、と。
いままでは鈴木雅之の横にいて輝いて、志村けんの横にいて輝いて、最終的に近藤さんの横にいて輝けばいいのかな。だからべつに芸能界に固執しないでそうやって活動していけば、自然ともう1回音楽とかって話になればいいし、お笑いって話になればいいし、あんまり気負わないで生きていこうかなと思ってて」
最近は家族との和解も進み、「娘がようやく食事に行ってくれるようになった」と語る田代。対談で吉田に褒められ、「あんまり誉めないで。誉められたらまた使っちゃうかもしれないから!」と返す余裕があるところを見ると、“4度目”は無いと信じて良さそうだ。
※CONTINUE Vol.60(2019年7月25日発売)
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