LUNA SEAのギタリストで、ソロとしても20年以上のキャリアを持つINORANが、8月7日にニュー・アルバム『2019』を発表した。同月にはツアーもスタートしたINORANだが、『2019』というアルバムタイトルにはどのような意味が込められているのだろうか? 2019年8月24日発売の『クイック・ジャパン』vol.145で、INORANはこのように語っている。
「2019年は僕の目に映る世の中の気持ちの色が、すごく明るくなった気がするんです。バンドも30周年という年だし、元号が変わったこともある。来年にはオリンピックがあるし。閉塞的な時代から、希望や明るいバイブスが出てきた年だな、とアルバムの製作中に感じたんですよ。
その一方で、いつもはアルバムを製作している途中にワードが出てきたんですけれど、今回はなかなか出てこなくて。だったら自分が感じた今の気持ちと、この2019が合致しているからということで、タイトルに選びました」
アルバムには、ソロをサポートするバンドメンバーや2012年に結成したMuddy Apesのメンバーが参加。彼らが作った曲も収録されているが、その信頼は厚く、細かい指示を出すことはないそうだ。
「僕が逆の立場でTAKA(Muddy Apes)が『(曲を)作って』と言ったら、彼を思って彼が一番輝くもの、一番かっこいいと思うものを作りたいし。彼らもそうやって作ってくれたんじゃないかな。TAKAの曲もDEAN(Muddy Apes)の詞も、ソロをサポートしてくれている村田(有希生)さんの歌詞も『こうくるか』というのがあるんですよ。
僕はこれまで『COWBOY』なんて言葉は使ったことないし。『かっこいい!』と思ったからこそ『COWBOY PUNI-SHIT』という曲のタイトルをツアータイトルにした。そういう意味で、アルバムに参加してくれたみんなのクリエイティビティを感じられる喜びは大きいです」
先日行われたLUNA SEAの30周年ライブも大成功に終わり、ソロもバンドも充実する理想的な状態のINORAN。今の心境はとてもポジティブなようだ。
「もちろん世界情勢を見れば心配な部分もすごくある。ただ、変えられるものはたくさんある。選挙もそう。『変わらない』という人もいるけれど、あきらめちゃいけないというか。もう段取りをしっかり組んでなにかをやらなきゃいけないわけじゃない、ある意味すごい時代で。だからこそ、思考を変えることができるんじゃないかな。その前向きな部分に光を当てるのが音楽の役目だと思いますから」
ツアーでは全国を回り、年末には恒例のクリスマスライブの開催も決定。時代は令和に変わっても、日本の音楽シーンを牽引し続けてくれそうだ
◆『クイック・ジャパン』vol.145(2019年8月24日発売/太田出版)
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・クイック・ジャパンvol.145
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