なぜ仲間を食べるのか? カニバリズムの謎に迫る『共食いの博物誌』

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昆虫や動物、そして人間まで、なぜ生物は共食いをするのか──動物学者が科学的な視点から、あらゆるカニバリズムの起源と真実に果敢に踏み込んだ初のノンフィクション『共食いの博物誌  動物から人間まで』が、11月30日(木)に発売される。

同じ動物が、そして時には“血縁関係”のあるもの同士が、食べたり食べられたりする「共食い」は、とかく扇情的に扱われがちだが、この本は著者のビル・シャットが動物学者としてセンセーショナリズムとは距離を置いていることが大きな特徴だ。

シャットは、ニューヨーク州立大学で生物学修士号、コーネル大学で動物学博士号を取得。ロングアイランド大学ポスト校生物学教授およびアメリカ自然史博物館研究員として働く彼は、脊椎動物研究を専門とする動物学者のかたわら、2008年に吸血動物をテーマにしたノンフィクションで作家デビューを果たし、本書はノンフィクション第2作目となる。

共食いを巡る近年のトピックが、地球温暖化によって北極圏の氷が消えゆくなか、ホッキョクグマの食性が本格的に変わり、共食いに走るようになったというものだ。「動物学者として、実際にホッキョクグマの食性に変化が起きていたのかどうかを突き止めることに興味を持った」というシャットは、

「地球規模の気候変動が引き起こした北極海の氷原減少が、ホッキョクグマによる共食い発生件数の増加の原因となっている可能性があるという科学的に有効な仮説が、歪められた解釈にかき消され、欺瞞に満ちてはいるがよく練られた“気候変動否定論者による主張の陰に追いやられて」(同書より)

しまった過程について、詳細につづっている。

『共食いの博物誌  動物から人間まで』(ビル・シャット・著、藤井美佐子・訳)は2017年11月30日(木)に発売。2900円+税。

【関連リンク】
共食いの博物誌  動物から人間まで

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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