”こぼれ落ちるものを記す” 上間陽子氏に「わたくし、つまりNobody賞」

お知らせ
スポンサーリンク

『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版)の著者で、教育学者/琉球大学教授の上間陽子氏が、「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞した。

上間氏は1972年に沖縄県で生まれ、現在は琉球大学教育学部研究科教授。専攻は教育学で、生活指導の観点から主に非行少年少女の問題を研究している。1990年代後半から2014年にかけては東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの調査・支援に携わっている。

上間氏の初の単著である『裸足で逃げる』は、沖縄の夜の街で働く少女たちに寄り添い、話を聞き続け、自分の居場所を作り上げていく少女たちの軌跡を記録したものだ。虐待、売春、強姦、ネグレクト……沖縄における暴力の問題が、どのようなかたちで若年層・生活困難層に現れているのか──社会問題として切り取るのではなく、苦しむ彼女たちに歩み寄ることで、困難な状況を拾い上げた。また、2冊目の単著となる『海をあげる』(筑摩書房)では、沖縄での生活が政治によって壊されている様を報告している。

「わたくし、つまりNobody賞」は、日本語による「哲学エッセイ」を確立するも、2007年、駆け抜けるようにこの世を去った池田晶子の意思と業績を記念して創設されたものだ。ジャンルを問わず、考える日本語の美しさ、その表現者としての姿勢と可能性を顕彰するもので、上間氏の受賞理由について、

「上間陽子氏は、ひとの言葉を聞くことをとても大切にしています。暴力や貧困の中の若い女性たち、軍機の爆音の下で沈黙する人々の、聞かれることのない声にひたすら耳を傾ける。それを言葉にすることによって、こぼれ落ちるものを、記そうとしています」(「わたくし、つまりNobody賞」の公式サイトより一部抜粋)

と、説明している。

『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』は全国書店&電子書店にて発売中。1700円+税。

【関連リンク】
上間陽子『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』特設サイト-太田出版
上間陽子-(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞

【関連記事】
沖縄が誇る長寿番組『民謡で今日拝なびら』 番組は沖縄弁で進行
カラー図版で戦後史を理解 『図解でわかる 14歳から知る日本戦後政治史』
なぜ「自発的に」苦しめられるのか? 『「民意」と政治的態度のつくられ方』刊行

※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

関連商品